史上最多の4741人がエントリーした「第28回ツール・ド・おきなわ2016」。参加者の数だけ思いがあった。

市民レース210キロに出場した中原裕章さん(右から2人目)と応援に駆け付けた家族=名護市内

 熊本市消防局の救急救命士の中原裕章さん(37)は自身の限界への挑戦と、4月の熊本地震で店舗が大きな被害を受けた同級生を励ますため、市民レース210キロに初めて挑んだ。

 中原さんの自宅がある東区は震源の益城町に隣接し、震度7を2度記録した。自宅は不幸中の幸いで大きな被害はなかったが局に招集され、その後1カ月間は普段の約3倍の出動。避難所や車中泊で体調を崩した市民の搬送に追われた。

 一方、同級生が店長を務める市内の自転車店は倒壊寸前に。中原さんは練習不足だったため、6月の長崎県壱岐市の大会に参加するかどうかで悩んでいた時、同級生に「おまえが自転車で頑張れば力をもらえる」と背中を押された。

 「自分の自転車で喜んでくれるなら少しは役に立っているのかもしれない」。被災した街中は走れないため、自宅内で練習を重ね、見事優勝した。

 招待選手として3度目の出場となった今回の大会は前方の転倒事故に巻き込まれ、20キロ地点で無念のリタイア。「来年出場できるなら壱岐と沖縄で優勝して、友人にもいい報告をしたい」と前を向いた。(北部報道部・伊集竜太郎)