これも急速に進む高齢化が背景にある。

 先月28日、横浜市で80代男性が運転する軽トラックが、集団登校していた小学生の列に突っ込み、1年生の男の子が亡くなった。

 今月10日、栃木県で80代男性の車が病院の入り口付近に突っ込み女性が死亡。12日、東京都立川市で80代女性の車が暴走し歩行者2人が犠牲になった。

 高齢ドライバーによる痛ましい事故が続く。

 警察庁の統計によると、65歳以上の運転者が過失の重い「第1当事者」になった事故は2015年に約10万件発生している。事故総数は年々減少傾向にあるものの、高齢者事故は06年以降、10万件を超える状態が続いている。

 事故は単純な運転操作ミスが目立ち、認知症が疑われるケースも少なくない。

 誰でも年を取れば、視力や運動機能は低下する。信号や対向車、歩行者に注意を払うといった、さまざまな判断を瞬時に行うことも難しくなっていく。

 来年3月施行の改正道交法では、75歳以上に対する免許制度が見直され、認知機能検査が強化される。「記憶力・判断力が低い」と判定された場合、医師の診断が義務付けられ、認知症と診断されれば免許が取り消される。

 心身機能の低下は個人差があり、高齢だからとひとくくりにはできないが、運転技術に対する過信は禁物だ。

 いざとなったらやめる覚悟を持ちながら、講習などを通して絶えず能力を確認していく作業が重要である。

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 高齢ドライバーによる事故対策として、国は免許の自主返納を呼び掛けている。

 しかし65歳以上の運転免許所有者1700万人余りのうち、昨年、自主返納したのは約27万人にとどまっている。

 地方へ行けば行くほどスーパー、病院、銀行などは歩いて行ける距離にない。返納したいのはやまやまだが、それでは暮らしていけないというのが本音だろう。

 県警では自主返納した高齢者に免許証と同じ形の証明書を交付している。証明書を提示すればバスやモノレールが半額、タクシーが1割引きとなるなどの特典がある。

 自主返納を加速させるには、マイカーに代わる交通手段の確保など、高齢者の側に立った対策が鍵となる。

 手頃な料金で乗れる乗り合いタクシー、消費者のもとを訪れる移動販売など、インセンティブをさらに高めていく必要がある。

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 男の子が亡くなった横浜市の事故では、運転していた高齢男性の認知症が疑われている。昨今の高速道路の逆走事故を分析した結果からも認知症の問題が指摘されている。

 認知症の親に運転をやめさせることができず悩む家族は多く、社会の支援が求められている。本人に病気の自覚がない場合もあり、警察や医師など専門家との連携が重要となる。

 団塊の世代が75歳以上となる25年には、75歳以上人口が2千万人を超える。安心してハンドルを放せる社会に向けて知恵を結集したい。