「劇艶おとな団」(安和朝彦団長)の第11回公演「九人の迷える沖縄人(ウチナーンチュ)」が12日、那覇市のJAおきなわ真和志支店であった。1972年の本土復帰前と現代を描いた物語。立場の異なる9人が不安や希望をぶつけ合い、笑いを交えながらこれまで続く混迷状態の沖縄を浮かび上がらせた。(学芸部・松田興平)

本土復帰を前に多様な意見を持つ9人が思いをぶつけ合う舞台「九人の迷える沖縄人」=那覇市・JAおきなわ真和志支店大ホール

 脚本は安和学治と国吉誠一郎、演出を当山彰一が担当。出演は平良曉(有識者)、国吉誠一郎(若者)、なかちかおり(老婆)、上地李奈(主婦)、新垣晋也(司会者)、犬養憲子(復帰論者)、宇座仁一(文化人)、島袋寛之(独立論者)、福永武史(本土出身者)、久高友昭(演出家)の現代劇や古典芸能など県内舞台で活躍する実力派がそろった。

 9人は復帰後の沖縄を思い描いて本音を吐露する。経済や教育格差解消への一歩。沖縄文化の消滅。米軍駐留はそのまま…。それぞれの葛藤が鮮明になってくる。

 場面が暗転して再び明るくなると、一転くだけた雰囲気。復帰を題材にした劇の稽古中という設定で、その練習の合間に、現代を生きる役者本人たちが当時に思いをはせ、さらに意見をかわしていく。

 場面が進むごとに「劇中」でも「休憩中」でも論は熱を帯びる。「復帰したいのか」「基地は反対か」。問い合う内容の本質は重なり合い、今も昔も変わらない沖縄の現実を示唆する内容となった。

 テーブルを囲んで激論を交わすというシンプルな構成が緊迫感を生み、多彩なせりふを際立たせた。

 しまくとぅばに標準語、沖縄なまりの言葉など、それぞれが使うせりふの「沖縄度合い」が異なっていることも各キャラクターの個性を形成。言葉の味わいが皮肉や批判、怒りのせりふが醸し出す笑いを増幅させた。

 同作品は19日に鳥取県の鳥の劇場を中心に開催される「鳥の演劇祭9」にも招待されている。