米軍北部訓練場の過半返還で、沖縄防衛局が地権者に土地を引き渡す前に行う汚染除去について「土壌汚染の蓋然(がいぜん)性が高いと考えられる過去のヘリ墜落地点」などと限られた範囲のみを想定していることが15日分かった。使用履歴や概況を調べた上で最終決定するが、訓練場内ではダイオキシンを含む枯れ葉剤を試験散布したとの証言や、米軍訓練による広範な環境汚染を懸念する声もある。識者は「より慎重に調査や汚染除去をやるべきだ」と訴えている。(社会部・篠原知恵、知花徳和)

米軍北部訓練場

 調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト」の河村雅美代表が赤嶺政賢衆院議員(共産)を通じて防衛局が県に提出した説明資料を入手し、明らかになった。

 資料によると防衛局は土壌汚染や廃棄物、不発弾などを取り除く作業の必要がある主な範囲として「土壌汚染の蓋然性が高いと考えられる過去のヘリ墜落地点」「既存ヘリパッドやその周辺」「米軍車両が通行した道路」の三つを想定していると説明した。

 最終的には地域住民の聞き取りや文献、航空写真などの資料で使用履歴を確認、概況を調査し、範囲を確定するとしている。しかし、防衛局の履歴照会に対する米軍側の情報開示は十分とは言えず、これまでに西普天間の返還跡地では予測が外れ、汚染浄化中に想定外の地点でドラム缶や鉛が出る事態も起きている。

 米国内基地では10年余りかけ、返還地の汚染除去作業をするとされる。返還される北部訓練場約4千ヘクタールについては、防衛局がわずか「1年~1年半」と見込むことに対し、「短すぎる」と問題視する意見も多い。

 また、返還予定地は8割以上が林野庁所有で、基地汚染に詳しい河村代表は「土地を引き渡す側も、される側も国同士。政治的な理由で世界自然遺産登録や土地の引き渡しを急ぐあまり、除去がおざなりになりかねない」と指摘。「日本政府は米軍側と丁寧に交渉して使用履歴情報を引き出し、慎重に汚染除去の調査計画や範囲を確定すべきだ」と語った。

 12年に施行された跡地利用特措法は「返還合意された駐留軍用地の区域全部について支障(汚染)調査・除去する」と明記している。