【東京】沖縄戦の激戦地の一つ、伊江島を舞台に、作家の故・井上ひさしさんが構想したこまつ座(東京)の舞台「木の上の軍隊」(後援・沖縄タイムス社)が、都内・新宿の紀伊國屋サザンシアターで上演されている。敗戦を認めずに、2年間もガジュマルの上で過ごした兵隊の実話を基にした作品。本土出身の上官と島育ちの新兵の日々のやりとりを通し、本土と沖縄の人がそれぞれに向ける“目線”や、現代に通じる双方の関係を象徴的に描く。初日から多くの来場者でにぎわっている。27日まで。

こまつ座「木の上の軍隊」のワンシーン。左から新兵役の松下洸平さん、語る女役の普天間かおりさん、上官役の山西惇さん(こまつ座提供)

 井上さんが20年以上構想を温めた未完の作品。井上さんが2010年に亡くなった後、若手劇作家の蓬莱(ほうらい)竜太さんが台本を仕上げた。13年に初演し好評を得た舞台で、3年ぶりの再演となる。

 敗戦が確実でも現実を認めない上官は「お前らは本当の国民ではない」との偏見をあらわにし、「この島を守るのではない、この国を守るのだ」と本音をさらす。

 一方、生まれ育った島が戦場となり占領され、失われていく新兵は「守られているものにおびえ、おびえながらすがり、すがりながら憎み、憎みながら信じるんです」と、沖縄と誠実に向き合わない本土への怒りを叫ぶ。新兵役の松下洸平さんは「沖縄のことについて分からないこともあるが、舞台を見て考えるきっかけを提供できれば」と語った。歌手の普天間かおりさんも「語る女」で登場。童歌や琉歌を歌い、ユーモラスな語り口もまじえて物語の進行にアクセントをつける。「戦争時の物語だが、今の沖縄にもそのままあてはまる」と述べ、多くの来場を呼び掛けた。