「土人」「シナ人」発言から18日で1カ月。沖縄県民を見下した「土人」発言に批判が集まる一方、「シナ人」発言は取り上げられる機会が少ない。「シナ人」の何が問題か。上海出身の留学生、丁鼎(ちょう・てい)さん(25)と考えた。

「日本と中国は経済だけではなく、文化的な交流が必要」と話す丁鼎さん=14日、琉球大学

 東村高江周辺での米軍ヘリパッド建設に反対する人々に放たれた「シナ人」。琉球大学4年の丁さんは、中国人の間で差別的用語として受け止められるほか、琉大のマスコミ学の講義で「戦時中に日本が侮辱の意味を込めて使った」と習っていた。

 中国でも沖縄タイムスの社説を引用するなど、発言は大きく扱われた。中国語の書き込みでは「日本は口では過去の戦争を反省しながら、(中国を侮辱する)本音が出た」と関心が広がったという。

 高江の出来事は複雑さを帯びる。軍備増強を続ける中国への懸念が、米軍基地に反対する人々を「中国の手先」「売国奴」と決めつけ、「シナ人」という言葉に結びつけているからだ。

 沖縄5年目の丁さんは「沖縄の歴史や基地負担に苦しむ現状に無知」と距離を置くが、仲の良い沖縄の友人でも中国脅威論と絡め、「沖縄に米軍基地は必要」と認識していることには戸惑いがある。

 「中国が日本と戦争し、そこから何が生まれるのか」と疑問が湧く。ただ、そう捉えられても仕方のない一面を中国という国が持っていることを理解している。その矛先が丁さんのような個人に向かうことに「腹は立つが、どうしようもない」と、やるせない思いだけが募る。

 丁さんは、俗に言うエスタブリッシュメント(支配層)でも、エリートでもないという。日本のアニメで日本語を学び、日本の文化に興味が深まり、沖縄に来た。「できれば日本の企業で働きたい」と就職活動に励んでいる。

 「中国では言論の自由の問題が常にある。日本では情報があふれているのに偏った情報だけにアクセスする人たちがいる」。互いを知らずに不信感を抱く。それが、いがみ合う要因ではないか。生まれた国と今住む国との関係で、丁さんの導き出した結論の一つだ。(特別報道チーム・福元大輔)