米軍普天間飛行場から発生する騒音を巡り、住民3417人が米軍機の事実上の飛行差し止めと損害賠償などを国に求めた「第2次普天間爆音訴訟」の判決は、司法の矛盾を際立たせた。

 那覇地裁沖縄支部(藤倉徹也裁判長)で言い渡された判決は、普天間飛行場の騒音や低周波音が、住民の受忍限度を超える「日常生活の妨害」や「睡眠妨害」、墜落の不安による「精神的苦痛」、さらには高血圧症発症のリスクが高まる「健康上の悪影響」を引き起こしていると認めた。その結果、損害賠償をW値(うるささ指数)75以上の区域で1人あたり月額7千円、同80以上で同1万3千円とした。総額は24億5826万円となる。

 第1次訴訟を上回る賠償額であり、他訴訟と比べても過去最高額だ。普天間飛行場の騒音によって住民が、複合的で深刻な被害を受けていることを認めた判断と言える。

 一方で、そうした被害の元となる騒音を制限する、差し止め請求(夜間と早朝は40デシベル以下、日中は65デシベル以下に制限する)は、第1次訴訟と同様に却下した。

 根拠としたのは1993年、厚木・横田基地訴訟で最高裁が提示した「第三者行為論」。訴訟の当事者は国と国民であり、第三者である米軍の行為を国は止める権限を有しないという論理だ。

 しかしそれならば、国民の権利を守る国の責務の放棄を、人権の砦(とりで)である司法が認めたに等しい。

 原告弁護団長の新垣勉氏は「違法な爆音の存在を認めながら、解決する努力をなぜしようとしない」と逃げる司法の姿勢を非難した。

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 原告は訴訟で、国が権限を有しない普天間飛行場を提供する日米政府の協定自体が無効であり、その結果、違法状態が放置されているのは違憲とする憲法判断を初めて求めた。しかし裁判所はこれも「争訟に該当せず、不適法」と判断した。

 「飛行場提供協定は、国と米国との間で合意した協定であり、原告との間に具体的な権利義務はない」とする判示は、基地提供を決めたのは政治であるから、是非の判断は司法の役割ではないと言わんばかりで疑問だ。

 現に基地から被害が発生しているのに、それを司法が阻止できないということを司法自らが認めたことになる。

 弁護団はこうした裁判所の見解について「自殺行為」と厳しく批判している。

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 判決は、米軍基地による利益は国民全体が享受するのに、そこからの被害は周辺住民という一部少数者に限られているとし「看過することのできない不公平が存する」ことも指摘した。

 それならば米軍基地提供のあり方の不公平を問い、騒音被害に対する国の不作為を判断するのが裁判所の役割ではないのか。

 健康を害する被害が目の前にあるのに、政治だけでなく司法も解決策を示さないなら、住民はどこに救済を求めればいいのか。

 司法は米軍基地被害に向き合うべきだ。