【平安名純代・米国特約記者】安倍晋三首相と次期米大統領ドナルド・トランプ氏の初会談が終わった。トランプ氏は選挙中に日本に動揺を走らせた在日米軍撤退発言などの強硬姿勢は見せず、日米同盟の重要性を理解してほしいと外国首脳で一番乗りで訪れた安倍氏の聞き役に回った。会談では安倍氏が北部訓練場の返還など沖縄の基地問題に言及する場面もあったが特別な反応はなかったという。

 安倍氏がトランプ・タワーを去った2時間後、ペンス次期米副大統領がロビーに姿を現した。会談に途中から同席したペンス氏は安倍氏との会談について、「大変有意義だった」と笑顔で答え、トランプ新政権と安倍政権が協力関係を構築できる可能性を前向きに示した。

 政権移行チームの責任者でもあるペンス氏は、次期政権の重要閣僚の人選や政策方針の決定などで実質上の采配を振るう。トランプ氏が大きな信頼を置いている人物だ。

 トランプ氏側の関係者によると、トランプ氏はペンス氏と約30分間にわたり、安倍氏との会談内容について協議したが、この中で沖縄に関する問題が指摘されることはなかった。

 安倍氏は会談で、日米両政府の北部訓練場の返還計画など在沖米軍基地に関して現状や今後の展開を説明して理解を求めたものの、トランプ氏とペンス氏は特別な関心を示さず、代わりに両氏が興味を示したのが、安倍氏が自衛隊の運用に関して自身の方針を説明した時だったという。

 アジア太平洋地域における米軍の重要性を強調しながら日本の責任としての自衛隊配備と米軍との共同訓練などを力説する安倍氏の姿に、トランプ氏は「目指す方向は同じようだ」と笑顔で答えたという。

 トランプ氏は、日米同盟の重要性を強調し、両国が信頼関係を構築して協力し合うことが双方の国益につながるとの安倍氏の主張に耳を傾け、ペンス氏も「信頼できそうな人物だ」と好感を示していたという。

 米軍撤退の可能性を指摘したトランプ氏が強硬姿勢を改めるかどうかは今回の会談では判明しなかったが、安倍氏を歓迎して受け入れたことから、今後は両者の間に信頼関係が築かれ、在沖米軍基地の増強や先島の自衛隊配備を巡り協力する可能性も出てきた。