沖縄への在日米軍の過剰な集中は事件・事故など人間の安全保障を毀損(きそん)し、環境破壊、土地の強奪など、何十年にもわたり、数え切れないほどの人権侵害を引き起こしてきた。今後も長期にわたり日本の安全保障政策の重荷を沖縄に背負わせていくという政府の方針に対し、県民はさまざまな方法で「ノー」の声を上げ、一連の選挙によって明確に意思を表明してきた。

星野英一琉球大教授

 にもかかわらず、日本政府は辺野古と高江における米軍基地の建設計画を、「金」と「力」で強引に進めている。その強引さの中で、いま沖縄において「表現の自由」「報道の自由」が奪われようとしている。

 政府は県外から多数の機動隊を投入し、抗議活動をしている市民を一時的に拘束したり、強制排除したり、と抑圧的な手段を使い続けている。5月には、沖縄防衛局と契約を結んでいる警備会社が抗議する市民を特定するためのリストを作成していたことが明らかになった。

 ジャーナリストもまた「力」で押さえつけられ、「報道の自由」が侵害されている。8月、高江で抗議行動を取材していた沖縄タイムスと琉球新報の記者を機動隊員が拘束した。

 沖縄の報道に対する「偏向報道」などのいわれなき非難が与党政治家からも聞こえてくる。「沖縄2紙をつぶさないといけない」「マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい」などの発言は記憶に新しい。

 こうした状況に留意し、沖縄国際人権法研究会は、沖縄タイムス社とともに、沖縄から「報道の自由」「表現の自由」について考えるシンポジウムを、開催する。

 研究会は日本の民主主義が機能せず、人権が保障されていない現状を国際人権法の切り口から発信しようと、今年3月に発足した。定例会で国際人権法を学び、その成果として例えば9月には、他のNGOとともに国連人権理事会に対し声明を発表し、米軍基地の存在や日本政府による人権侵害の現状を訴えた。

 今回のシンポジウムでは、講演者に本土や海外メディアの視点を提供していただき、沖縄における報道の自由、表現の自由をどう守るか、沖縄の声をどう届けるか、皆さんとともに考えていきたい。(国際関係論、沖縄国際人権法研究会共同代表)

■11月21日(月)那覇市・タイムスホールでシンポ

 シンポジウム「沖縄から問う報道と表現の自由」は21日午後6時半から、那覇市久茂地のタイムスホールで。毎日新聞特別編集委員の岸井成格氏が基調講演し、米紙ワシントン・ポスト東京支局長のアンナ・ファイフィールド氏、ジャーナリストの安田浩一氏、沖縄タイムスの石川達也編集局長を交えて討議する。資料代500円、学生は無料。問い合わせは沖縄タイムス社編集局、電話098(860)3561。