「土人」発言の背景にある三つの点を指摘したい。

高橋哲哉(東京大学大学院教授)本土に基地引き取る

 第一に、徐々に形成されつつある排外主義的な流れである。1990年代後半に始まった「嫌韓嫌中」という流れの中で、基地問題でいつまでも政府に対抗し続ける沖縄への「嫌沖」という感情が芽生えてきたように思う。

 特に、若者が「土人」という言葉を使ったことは大きな衝撃だった。歴史を知らず、ネット上にあふれる差別的な発言などに大きく影響されている。

 次に潜在的な差別意識の存在だ。

 本土には沖縄の立場に共感している人もいる。そういう人でも、本土で基地を引き取ろうと提案すると「とんでもない」となりがちだ。ここに意識していない差別、潜在的な差別が存在する。実はこれが一番根深い問題なのだ。

 最後に「土人発言」などをめぐる鶴保庸介沖縄担当相の発言だ。2代続けて沖縄担当相の人事には、安倍政権の沖縄に対する高圧的な姿勢が表れていると言わざるを得ない。

 現在も続く差別に、批判的な目を向けることができるようになるためにも、教育に沖縄独自の歴史やアイデンティティーを学ぶ機会を取り入れる必要がある。それが差別に対抗する手段となる。