「あがりぬふしからうやうやとぅめてぃくーよ、ちんなんもー(東の後ろから親を探しておいでよ、かたつむり)ちんなんもーやみぃあいん(かたつむりには目があるの)」。古くから歌い継がれてきた童唄「ちんなんもー」の一節だ。しまくとぅばで童唄や民話を教える「てぃーだぬふぁ童唄会」の宮城葉子主宰(60)は「身の回りの動植物や風習まで、ウチナーンチュが大切にすべきことが歌や物語の中に詰まっている」と話す。しまくとぅば伝承の要は幼児教育とし、子どもを対象にしたしまくとぅばの普及活動を続ける。(中部報道部・松田麗香)

童唄でしまくとぅばを伝える宮城葉子さん。活動の場には「うちなーぐち励行の家」の看板を掲げている=うるま市田場

 毎週土曜日の午後、うるま市田場の古民家に0歳から小学生まで、約20人の子どもたちが集う。手遊びを交えて歌う宮城さんをまねて、「牛モーモー、たーかいど(田んぼへ行くよ)」と子どもたちの元気な声が響く。ウチナーグチだけで会話する場所をつくりたいと、宮城さんが「うちなーぐち励行の家」の看板を掲げた活動の場だ。

 宮城さんは1991年に童唄会を発足。ことし25周年を迎えた。歌や紙芝居など、遊びを通して、子どもたちは言葉に親しむ。「ちんなん(かたつむり)」「いさとぅー(カマキリ)」。目に入る物がすんなりと、しまくとぅばになる。一緒に参加する保護者は、単語を覚えるのも苦戦するという。

 「言葉を覚えることは0歳から始まっている。しまくとぅばを伝え残すためには、子どもたちの教育こそ力を入れて取り組むべきだ」。宮城さんは力を込めた。

 宮城さん自身、模索を重ね、現在の活動にたどり着いた。幼児教育を学ぶため、岐阜県の大学に進学。合唱団にも参加し、本土の民謡に触れた。季節や風習を織り込んだ民謡を大切に歌う団員との交流に刺激を受けた。そんな中でも「自分は沖縄のことを何も知らない」と気付いた。

 「もっと沖縄のことを知り、県外の人にも伝えたい」。卒業後、沖縄に戻り、北中城村の沖縄民俗資料館に勤めながら、童唄や民話の研究を始めた。

 宮城さんは、沖縄の伝統行事には、関連した童唄や民話が残っているという。旧暦9月7日のカジマヤーなら、童唄は「花ぬカジマヤー」、民話なら、土で人間をつくった神様が登場する「カジマヤーの由来」がある。童唄会では、季節に合わせて行事の歌や民話を教える。

 保育園など幼児教育の現場でも、あいさつや手遊びにしまくとぅばを取り入れてもらおうと、保育士や学生らにも教える。

 「言葉は心そのもの。ウチナーンチュの誇りを、いつまでも引き継いでいってほしい」。熱い思いを歌に乗せて、次世代に伝えている。