安倍政権が旗を振る「女性が輝く社会」がむなしく響く。

 自民党の女性活躍推進本部などの合同会議で、女性の政界進出を促す議員立法案を巡って、異論や反対意見が続出した。

 議論された政治分野における男女共同参画推進法案は、国と地方の議員選挙で候補者の男女数が「できる限り均等」となるよう目指す内容だ。政党や政治団体に対し、男女の候補者に関する数値目標を設定する努力義務も定めている。

 会議では複数の議員が「政党の自主的な取り組みによるべきで、法律は必要ない」と反対したという。

 党内手続きが持ち越しとなったことから、公明党、日本維新の会と共同で予定していた今国会への提出は不透明となった。

 既に民進党など野党4党は、男女の候補者を「できる限り同数」とする同じ趣旨の法案を国会に提出している。与野党の修正協議も見通せない。

 安倍政権の女性活用のキャッチフレーズは「2030(にいまる・さんまる)」だ。2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%に増やす目標である。

 今年4月に全面施行された女性活躍推進法は、大企業に管理職に占める女性の割合の数値目標などを盛り込んだ行動計画の作成を義務付けている。

 言っていることと、やっていることが違うのではないか。

 残念な対応だ。

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 日本の国会議員に占める女性比率は世界でも最低レベルにある。 

 各党の自主性に任せてきた結果、衆院議員でわずか9%。世界平均の22%には遠く及ばない。

 各国が女性の割合をぐっと伸ばしたのは、ここ20年のこと。背景には議席や候補者の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の普及がある。欧州やアフリカ諸国を中心に100カ国以上で導入されている。

 人口が男女半々で構成されていることを考えれば、女性の声を政策決定に反映させるための当然の取り組みともいえる。

 働く女性の6割近くを占める非正規雇用の問題、深刻なシングルマザーの貧困など、女性の視点が求められる課題は多い。

 努力規定の理念法である政治分野における男女共同参画推進法案で、もたもたしている場合ではない。

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 「私たちはいまだに、最も高く硬いガラスの天井を破ることができていない」。米大統領選で敗れたヒラリー・クリントン氏は敗戦の弁で、「ガラスの天井」を打ち破る勇気を若い世代に託した。 

 女性の登用や昇進を妨げる見えない壁を指す「ガラスの天井」の存在は、政治の世界で特に顕著だ。

 英国やドイツ、韓国、台湾などで女性の政治指導者が次々と誕生する中、日本では女性首相候補がリアルに語られることはない。

 世界の潮流が促すのは、実効性のある制度の導入だ。