国指定伝統的工芸品「琉球漆器」産業が低迷している。生産額はピーク時の7分の1程度の1億1千万円前後を推移し、従事者数も同じく7分の1の42人前後に落ち込んでいる。現状を打破しようと、琉球漆器事業協同組合(上原昭男理事長)は12月2日に那覇市伝統工芸館で「漆器まつり」を10年ぶりに実施するほか、「普段使い」できる琉球漆器の提案などでファン増を目指している。(社会部・浦崎直己)

漆の堆錦(ついきん)技法で模様を描いたグラス(右)と、MR漆を使った琉球漆器(左)を持つ上原昭男理事長=那覇市牧志・那覇市伝統工芸館

琉球漆器の生産額と従事者数の推移

漆の堆錦(ついきん)技法で模様を描いたグラス(右)と、MR漆を使った琉球漆器(左)を持つ上原昭男理事長=那覇市牧志・那覇市伝統工芸館 琉球漆器の生産額と従事者数の推移

 琉球漆器は「沈金」「堆錦(ついきん)」「螺鈿(らでん)」などの独特の加飾技法が特徴。14世紀末ごろに始まったとされ、琉球王朝時代には海外交易品や献上品、戦後は米軍関係者が注文する贈答品、復帰後は観光土産品として親しまれてきた。

 しかし、全国的な工芸品離れや生活様式の変化などから販売額が減少。2001年には老舗店「紅房(べんぼう)」が閉店したこともあり、職人も減った。

 組合は低迷を打開できずにいたが近年、個人工房の中堅職人たちが新たな商品開発を推進。ことしに入って、1人だけだった役員を3人増やし、新体制で産業復興に取り組む。県工芸振興センターが自動食器洗浄機に耐えられる高熱耐久の「MR漆」を導入し、開発した漆器をホテルや学校給食へ売り込むなど、攻めの営業を強化している。

 上原理事長(71)は組合が大口受注を受け、個人工房や若手職人に作製を振り分ける仕組みなども検討する。「さらに改良を重ねて、売れる漆器を増やさないといけない」と力を込める。

 木工と琉球漆器を手掛ける「木工家具杉の」の杉野義則さん(51)はおちょこや日用の食器なども作っている。「琉球漆器は値段は高いが、軽くて、修理もでき、長く使える。生活の中で選ばれる商品を作っていきたい」と意気込んだ。