わが家は共働きで2人とも時間は不規則。口が裂けても「子どもへの家庭教育はしっかりやっている」なんて言えない。自民党はそんな家族を「公的に助ける」として、来年の通常国会に法案を出す。その名は「家庭教育支援法案」

▼一見、聞こえがいいネーミングだが、家庭教育を「国家と社会の形成者として必要な資質を備えさせる」と規定。自治体はそれに沿った方針を立て、地域住民は協力する「責務」を負うという内容だ

▼「自主性の尊重」は明示されるが、国が「家庭のあり方」を一律に決め、できなければ自治体や地域が介入する。今、盛んに言われている「困っている家には周囲が手を差し伸べよう」とは似て非なるものだ

▼そもそも法案は、子育てに困難を抱える親が求めているものなのか。保育園の充実、現状の支援活動への助成や人員増など、国がやるべきことは山積している

▼識者から「法案は、家庭での個の尊厳をうたう憲法24条改定への布石では」と危ぶむ声が出ている。麻生太郎副総理が理想とする改憲の手口を「ある日気付いたら変わっていた」と言ったとおり、法案がすんなり成立しそうなのが怖い

▼国が単一の価値観を法で規定すれば、そこから外れる人にとっては生きにくい社会になる。周囲に頼りっぱなしで子育て中の身だが、大きなお世話だ。(磯野直)