朝起きていつもの習慣でテレビをつけた人たちは、飛び込んできた映像を見てとっさに東日本大震災を思い出したのではないだろうか。

 地元自治体や住民の対応は素早かった。多くの人々が、津波警報や津波注意報が発令されたら、何はさておき高台に避難する、という教訓に従って行動した。

 22日午前5時59分ごろ、福島県沖を震源とするマグニチュード(M)7・4の地震があり、福島、茨城、栃木の3県で震度5弱を記録した。

 マグニチュードの規模はM7・3の阪神大震災、熊本地震を上回る。宮城県仙台市の仙台港では140センチの津波を観測した。東日本大震災以降に発生した津波の中では最大規模である。

 5年8カ月前の2011年3月11日、あの時とほとんど同じ場所で、これほど大きな地震が起きるとは…。

 文部科学省によると、東北、関東地方にある公立の小中高校、幼稚園など計312校が臨時休校となった。

 福島県いわき市の、海から約700メートルに位置する市立錦東小では地震発生後すぐに全児童にメールを送り、「避難を優先してください」と指示した。いわき市の沿岸部では日の出前の薄暗い時間に避難を呼び掛ける防災無線が鳴り響いた。

 被災の記憶が防災意識を高めることにつながる。

 南海トラフ巨大地震で甚大な被害が想定されている近畿、四国地方の人々にも緊張が走ったはずだ。「いつ、何が起こるか分からない。備えは大丈夫か」。

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 この日、福島第1原発でも第2原発でもそれぞれ1メートルの津波が観測されている。

 東京電力福島第2原発3号機の使用済み核燃料プールでは午前6時10分ごろ、冷却設備が自動停止した。冷却水を供給するタンクの水面が地震で揺れ、水位低下の警報が鳴り、冷却設備が自動停止したのだという。

 プールには核燃料2544体が保管されていた。燃料は使用後も熱を出し続けるためプールの水の中に沈めて冷やし続ける必要がある。

 核燃料プールの冷却が一時停止したというニュースに接した人たちの多くが、福島第1原発事故を思い起こしたのではないだろうか。

 午前7時47分に冷却を再開し、水漏れや放射性物質の漏えいはない、と東電は説明しているが、短い時間ではあれ燃料プールの冷却が止まったということは、原発の安全性に対する不安を募らせる。

 東電は情報公開を徹底し、自動停止の原因や影響について、丁寧に説明する必要がある。

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 いくつかの課題も浮き彫りになった。車で避難する人たちが同じ道路に集中し、渋滞を引き起こしたというのもその一つ。自力移動の困難な災害弱者が数多く入所する施設では、対応に手間取るところもあったようだ。

 沖縄県が15年に実施した県民意識調査で、県民の防災意識の低さが浮き彫りになった。「沖縄では地震は起きない」という考えは思い込みである。備えは必要だ。