自民党が酒税の軽減措置延長に絡めて、泡盛業者らでつくる県酒類製造業連絡協議会に「職域支部」の創設を提案している。

 来年5月に適用期限切れとなる軽減措置の延長論議が大詰めを迎えているこの時期に、党の支部立ち上げを持ち出すのは、「延長したいのならば言うことを聞け」との圧力に等しい。

 かつての「利益誘導型政治」を想起する。

 県酒連が自民党の二階俊博幹事長らに延長を要請した際、酒造関係者の党員拡大を求める話があったという。その後、県連を通して支部創設を打診された。

 職域支部は業界や職能団体ごとの集まりで、選挙で党の候補者を支援するほか、職域代表を国政に送り出すなどの活動を担っている。

 政党の重要課題である党勢拡大を目的に職域支部をつくるのは珍しいことではないが、業界の弱みにつけ込むように税制改正の手段に使おうとしているのは大きな問題だ。

 税の公平性や中立性の原則からも国民の誤解を招きかねない。 

 職域支部が自民党の票固めに力を発揮していることは事実だ。

 かつて「土地改良政治連盟」が農水省出身の候補の集票マシンとして機能し、組織票をがっぽり得ていたことを思い出す。県内でも土地改良事業の恩恵を受ける自治体で得票率が高くなるなど、予算と票のバーターが目に見えるようだった。

 自民党の古い体質が、今度は税制で復活しようとしているのではないか。

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 「自民1強」のおごりもある。

 昨年、政府が名護市の辺野古・豊原・久志の久辺3区に補助金を出す仕組みを作ったのも、新基地建設を目的にしたものだった。

 移設に反対する名護市を通さず、地方公共団体でもない自治会的な組織に直接カネを落とすという異例のやり方は、財政規律をゆがめ、地域を分断した。

 2007年に始まった米軍再編交付金も同じである。米軍再編への協力度合いに応じて支払われる交付金は、新基地を受け入れるかどうかの踏み絵とされた。名護市の場合、稲嶺進市長が辺野古埋め立てに反対しているため支給は停止されている。

 自治体の同意のない予算や住民ニーズとは別次元で決まる事業は、「利益誘導」以外のなにものでもない。

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 復帰後、8回の延長を重ねてきた酒税の軽減措置について、「いつまで続けるのか」という声があることは確かだ。期限切れを前にした政権与党の提案に、業界は苦しい立場に追い込まれているのだろう。

 しかし本来、酒税の軽減措置と党勢拡大は何の関係もない。延長するかどうかは、あくまでも税制や産業の育成、県民生活への影響などから論じるべきである。

 県酒連には政治と一線を画し、文化的産業としての位置付けをアピールする努力を求めたい。