来年1月に就任するドナルド・トランプ次期米大統領の下でも、名護市辺野古の新基地建設計画が維持される見通しであることが分かった。

 トランプ氏の外交・軍事政策に関する草案に現行計画を維持する方針が盛り込まれている、と本紙の平安名純代・特約記者が報じている(27日付1、3面)。

 草案は、急ピッチで進む海兵隊基地の整理統合計画について「普天間代替施設の建設や既存基地・施設の整理統合などで目覚ましい変化を遂げている」と評価する。

 市街地のど真ん中に位置する普天間飛行場は、騒音被害や墜落の不安を抱え、米軍にとっても「政治的負債」であった。

 老朽化したこの飛行場を返還する代わりに、揚陸艦も接岸できる新機能を備えた基地を米軍が希望する辺野古沖に日本の予算で建設する。そしてキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブと新基地を地続きの基地として一体的に運用する。それが新基地建設計画の中身だ。

 北部訓練場についても、不要な土地を返還する半面、東村高江の周辺にオスプレイ訓練用のヘリパッドを建設し、上陸訓練が可能な基地として整備されつつある。

 伊江島補助飛行場では、強襲揚陸艦の甲板を模した着陸帯の改修工事が進む。完成すれば、最新鋭ステルス戦闘機F35の訓練にも使われる予定だ。

 負担軽減とは名ばかり。本島北部は、新たな機能を備えた訓練拠点として整備されつつあるのが実情だ。

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 トランプ氏は、オバマ政権の下で国防予算が削られ、米軍の機能や能力が低下したと見ており、大統領就任後、米軍を増強し、アジア太平洋地域のプレゼンスを強化する考えだと言われる。

 米国にそれだけの財政的余裕があるとは思えないが、日本に対して駐留経費の負担増や米軍が果たしてきた役割の肩代わりを求めてくる可能性は高い。米軍を沖縄に引き留めておきたい日本政府は、トランプ次期大統領の誕生を対中包囲網強化のチャンスと受け取るかもしれない。

 トランプ氏の就任に甘い期待を持つことはできない。久々の共和党政権の下で、負担軽減とは逆の流れが顕在化する恐れがある。

 そして何よりも懸念されるのは、こうした動きが中国を刺激し、安全保障のジレンマに陥り、この地域の緊張をこれまで以上に高める結果になってしまうことだ。

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 海兵隊は日本防衛を目的として沖縄に駐留しているわけではない。尖閣有事の際、真っ先に駆け付けるわけでもない。海兵隊の役割、装備、訓練形態などをあらためて検証する作業が欠かせない。

 トランプ新政権がどのような外交・安全保障政策を打ち出すのか予測するのは難しいが、それだけに県は情報収集を強化し、課題の整理を急ぐべきである。

 米国に新政権が誕生しようとしている今、何が必要でどのような対処が有効か。泥棒を捕らえてから縄をなうようでは効果的対応はできない。