シンガー・ソングライター七尾旅人(たびと)さんのライブを27日、那覇市内で聴いた。ヘリパッド問題を歌った「沖縄県東村高江の唄」「機動隊を待ちながら」「蒼(あお)い魚」の高江3部作が心に響いた

▼改憲や原発についての曲も多い七尾さんが高江を初めて訪れたのは、座り込みが始まった2007年。今年8月からは毎月訪れ、歌を届ける。肩を組んで合唱するような反戦歌とは一線を画し、繊細な旋律をささやくように歌う

▼「反対」などの直接的な詞はない。「大きなスローガンでは省かれてしまう一人一人の違和感や思いを曲にしたい」

▼高江区は国の交付金2千万円を、過去の被害補償として受け取ることにした。仲嶺久美子区長は、面談した自民党の政調会長に「反対しながら迷惑料をもらう区長です」と自嘲気味に自己紹介したという(26日本紙)

▼反対する区が交付金を認めたのは、国が有無も言わさず工事を進め、既成事実で追い込んだからだ。決断を揶揄(やゆ)する言説がネット上で飛び交うが、「自分の住む所に、強権的にヘリパッドが造られたら」と少し想像してみてはどうか

▼歌う理由を「イデオロギーではない。卑劣なこと、筋の通らないことを止めたいだけ」と語る七尾さん。曲の中で「機動隊を送るのは誰なのか」と本土に問う。「この国か/あの国か/それともあなた」。(磯野直)