就任2周年を前に、翁長雄志沖縄県知事の記者会見が11月28日にあった。会見の詳報は以下の通り。

記者の質問に答える翁長知事

【名護市辺野古の新基地建設問題】

 違法確認訴訟で福岡高裁那覇支部は十分な審理を行わないまま県敗訴の判決を言い渡した。県は引き続き承認取り消しが法的に正当だと訴えていく。行政が司法の最終判断を尊重することは当然だ。公約に掲げた辺野古新基地を造らせないとの民意は選挙で明確に示されている。

 民意を無視し、辺野古新基地建設を押し進めることは許せない。今後も新基地は造らせないとの公約実現に向け、岩礁破砕許可や設計変更、文化財問題、サンゴの移植などあらゆる手段を用いて取り組む。県民投票は現時点で具体的に検討はしていない。

【政府のかたくなな姿勢と本土での理解浸透】

 県は日米安全保障体制の負担を日本全国で考え、基地負担軽減と辺野古が唯一の解決策という固定観念にとらわれることなく、早期解決に向け取り組むよう幾度も訴えてきた。県民が反対の声を発し続けても一顧だにしない国の強硬な態度は、民主主義国家のあるべき姿からはほど遠いと言わざるを得ない。

 いつも、他の都道府県でこんなことが起こりえるのか疑問に感じている。一方、全国知事会で沖縄の基地負担軽減を目指した研究会がスタートした。全国で沖縄の立場を理解し、認識を共有しようというこれまでにない新しい動きで、本土でも理解が進んでいる成果だと考えている。今後このような動きを国内だけでなく米国でもさらに広げられるよう、粘り強く発信していきたいと考えている。

【日米特別行動委員会(SACO)合意から20年たつが基地返還が進んでいない現状】

 SACO最終報告で示された返還予定面積は5002ヘクタールのうちこれまでに計454ヘクタールが返還済みで北部訓練場は12月22日に過半の約3978ヘクタールの返還が予定されている。残りの返還時期は「2028年またはその後」として明確ではない。

 あらゆる機会を通じて基地の整理縮小を日米両政府に強く求めていく。先日の作業部会で安慶田光男副知事は統合計画は関係市町村の意向を反映させ計画的に実施するよう求めた。

 私は「苦渋の選択」という話をすると「理解できない」という人がたくさんいるが北部訓練場も苦渋の選択の最たるものだと思う。

 SACO合意の着実な実施で約4千ヘクタールが返ることに異議を唱えることはなかなか難しい。しかし現実には新しいヘリパッドが6カ所もつくられ、環境影響評価もされないままオスプレイが飛び交う状況は私たちからするとたいへん厳しい状況を目の当たりにしているという風に思っている。このような形の中で返還されることそのものが、厳しい状況だと思っている。

 ことしの参院選の結果が出て数時間後すぐ工事が始まった。県民の信頼を勝ち得るにはほど遠い。4千ヘクタールを返すから文句を言うな、という状況を県民は冷静に見ていると思う。

【オール沖縄の達成度、沖縄の心をどう考えるか】

 オール沖縄は保革を乗り越えて沖縄の基地問題を解決してほしいという、県民の願いから生まれてきたものだと思う。今年の県議選、参院選でもオール沖縄で私が支持する候補者が勝利した。米軍基地問題への対応、アジア経済戦略構想の推進や雇用環境の改善、子どもの貧困問題などこれまでの県政の取り組みに県民の評価を得られたものだと考えている。今後とも沖縄のアイデンティティーを大切に、保革の垣根を乗り越え、県民の心を一つにする県政運営に努力したい。

 「沖縄の心」は県議会で「ウヤファーフジの頑張りやご苦労を敬い、子や孫が本当に幸せになり、誇り高く生きることと考えている」と申し上げた。沖縄は20、30年前は若者の失業率が十数%あり、若者に外に目を向けるよう促す状況だったが、今は沖縄に戻ることが、結果的に沖縄の経済を支える大きな力になっていると感じる。若者が帰ってきて仕事をすればアジアのダイナミズムを取り入れ沖縄の経済発展が支えられる。誇りに思っている。

【任期残り2年の取り組み。再選出馬への意欲】

 点数は自分ではつけられない。県民にしっかりと見ていただきたい。ただ、全力投球してきたつもりだ。経済発展、生活充実、平和創造の三つの視点から施策を展開してきた。県アジア経済戦略構想に基づき、アジアの活力を取り込んだ施策を着実に推進するなど、経済文化交流に引き続き積極的に取り組んでいく。

 30億円の県子どもの貧困対策推進基金を活用し、子どもの貧困対策を各市町村と提携もしながら推進したい。全国知事会などを通じ、基地負担軽減を広く国内に周知し、辺野古新基地建設に反対して普天間飛行場の県外移設および早期返還、危険性の除去に引き続き全力で取り組んでいく。

 再出馬は、来年の話をしても鬼が笑うという話もある。4年間をおろそかにしないよう全力投球したい。

 【県経済への現状認識。子どもの貧困への取り組み】

 観光リゾート産業、情報通信関連も好調だ。雇用情勢は完全失業率が23年ぶりに3%台を記録し、有効求人倍率も復帰後初めて1倍を上回るなど、好調な状態が続いている。一方、非正規雇用の割合や一人当たりの県民所得など、全国と比較するといまだに厳しい状況がある。

 17年度は21世紀ビジョン基本計画の後期期間がスタートする重要な年だ。自立型経済の構築に向け新たなリーディング産業の育成、沖縄の特性を生かした産業振興や地元企業の育成に取り組むことで県民所得の向上を図っていきたい。県内企業の海外への販路拡大にも積極的に取り組みたい。

 子どもの貧困問題では、民間やNPOなどで支援が起きている。沖縄らしい優しい社会を構築するための根幹の子どもの貧困問題に県民の意識が高くなっている。県、国、市町村それぞれが頑張っており、2、3年前とは変わってきている。ぜひ県が中心にとりまとめ、相互連携をとりながら一歩一歩改革していく。

【シュワブの中に基地を造る場合でも新基地か】

 政府は普天間飛行場の移設というが、実際は海を埋め立て、国有地に替わり、機能強化となる。これは移設と言うより新基地だとの定義を私は持っている。