沖縄県は「性暴力被害者ワンストップ支援センター」を来年度中に県立中部病院内へ移行し、24時間365日体制にして支援を拡大する。県内では、刑法犯全体の発生件数が減少する中で、性犯罪は増加傾向にあり、支援体制の拡充が急務だ。強姦(ごうかん)救援センター・沖縄(REICO)代表の高里鈴代さんは「性暴力に寛容な社会を変えていくと同時に、被害者には『あなたが悪いのではない』というメッセージを伝え続け、早期の支援につなげる体制を整える必要がある」としている。(学芸部・座安あきの)

 県の支援センターには昨年2月の開設から今年9月までの1年7カ月で126人から延べ883件の相談が寄せられた。被害の種類では「強姦」が45件で最も多く、「強制わいせつ」26件、「DV」13件、「性虐待」11件と続いた。

 緊急避妊処置ができる72時間以内の相談は8人にとどまり、被害から1週間以上たって相談した人が98人で最多。未成年者の相談は約2割で、加害者との関係では「知っている人」が72%(91人)に上った。

 高里さんは「性暴力は外で突然見知らぬ人に襲われるものという『神話』があるが、実際は室内で顔見知りによる犯行がほとんど。被害者は身近な人を訴えることができず、事件化されないまま繰り返され、次の被害が生まれている」と指摘する。

 一方、県警のまとめによると、直近の2014年の統計では強姦と強制わいせつ合わせて県内で53人を検挙。被害者は13~19歳の33・7%が最も多く、6~12歳の15・5%と合わせ、未成年者が全体の約半数。20代は約35%、30代約8%、40歳以上は約6%だった。

 「幼いころに性虐待を受け、大人になってからも精神的ストレスを抱えて生活に支障をきたしている人が多い」と高里さん。自分に娘が生まれて、性虐待の恐怖が子にも及ばないかとPTSDを発症するケースもあるという。

 県内で小学生の女児が実の祖父に性的虐待を受け、児童相談所に保護された事件があった。加害者は社会的地位のある立場で、地域でも知られた人物。虐待に気づいて通報した母親も幼いころ、この父親に性的虐待を受けており、長年にわたって犯行が続いていたことが明らかになった。

 支援の経験から高里さんは「幼い子への虐待では、加害者の言葉は巧妙で、他言しないように心理を操り、秘密が隠蔽(いんぺい)される。子どもが母親や身近な人に打ち明けても、経済的、社会的地位のある加害者が逆に守られるケースが少なくない」と話す。親族や地域と横のつながりのある沖縄では特に、事件化しにくい背景があるとみている。

 先進国では日本が唯一、性犯罪を起訴するのに被害者からの告訴が必要な「親告罪」の規定がある。

 高里さんは「告訴を考える被害者に対して、表沙汰になることによるさまざまな影響をふれこみ、結果的に被害者の口封じに機能してきた面があった」と指摘。警察の検挙統計の裏に、「訴えが却下された事件や相談にさえつながらなかった事件が無数にある」と強調した。

 中部病院内に開設予定のセンターでは、相談と医療的支援を1カ所で担えるようになる。県は24時間体制に向け、現在18人いる支援員を50人に増やす計画で、医療関係者らが養成研修を受講、準備を進めている。