翁長雄志知事が北部訓練場で進められているヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設を事実上、容認した。

 報道各社とのインタビューで、翁長知事は工事を強行する政府の姿勢に疑問を呈しつつも、「苦渋の選択の最たるものだ。約4千ヘクタールが返ることに異議を唱えるのは難しい」と述べた。

 この問題に対する県の対応はあまりにもあいまいで、ちぐはぐだ。

 2014年の県知事選の政策文書の中には「オスプレイ配備撤回」は明記されているが、「ヘリパッド建設反対」には触れていない。ただ、知事選の政策発表では「オスプレイ撤去と県外移設を求める中で、高江のヘリパッドは連動して反対していく」と語っている。

 知事を支える保守系の人たちからは「大規模返還が実現するなら基地内移設はやむを得ない」「知事は革新に傾きすぎる」との不満がくすぶっていたのも確かだ。

 板挟みの中で翁長知事は21日、オスプレイの運用を前提にした環境影響評価(アセスメント)を再実施するよう防衛省に要請したが、翌22日の参院外交防衛委員会で防衛省は再実施の予定がないことを明らかにした。

 アセスの再実施の見通しもないまま、翁長知事はヘリパッド建設を事実上、容認してしまったのである。

 ヘリパッド建設をどう見るか、突き詰めて考え、きちんと問題を整理してこなかった付けというしかない。後手後手の対応が続くようでは政府に振り回されるだけである。

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 東村高江周辺では連日、市民による体を張った反対行動が続き、けが人も続出している。知事の反対表明を期待していた人々にとって容認発言はハシゴをはずされたようなものだ。

 しかも、県はキャンプシュワブ陸上部分の隊舎工事再開を認めたばかり。「辺野古・高江」を一体のものととらえる反対派市民の反発と落胆は大きい。

 保革の枠を超えて知事を支えてきた政治勢力の「わだかまり」や「不満」はあちこちで表面化しており、知事発言がさらに内部の亀裂を深め、「アリの一穴」になるおそれがある。政府・自民党がその先に見すえているのは、2年後の知事選だ。その動きはすでに始まっている。

 翁長知事は、名護市辺野古の新基地建設について、知事権限を駆使して阻止していく考えをあらためて強調した。だが、ヘリパッド「事実上容認」の波紋は広がっている。

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 北部訓練場の過半返還は、返還面積を大きくし、大規模返還であることを印象づけるために打ち出されたものだ。

 不要な土地を返還する見返りに、海兵隊は新たに6カ所のヘリパッドを手に入れ、上陸訓練も可能となった。

 オスプレイ訓練に伴う貴重な自然や住民生活への影響を考えれば、6カ所のヘリパッド建設は無理な計画であることが明らかだった。

 にもかかわらず、米軍の強い要求に抗しきれず、住民説明も極めて不十分なまま、工事が強行されたのである。