名護市辺野古の新基地建設を巡る抗議活動で、県警は沖縄平和運動センターの山城博治議長ら4人を威力業務妨害の疑いで逮捕した。

 現場で行動を指揮する山城議長の逮捕は10月以降、3度目。県警は活動拠点となっているゲート前のテントや那覇市の平和運動センター事務所なども一斉に家宅捜索した。

 逮捕容疑は1月28日から30日にかけて、ゲート前に約1400個のブロックを積み、工事車両の通行などを妨げた疑いである。

 それにしてもなぜ今、10カ月も前の抗議活動に対し、公権力を行使するのか。

 年内にもキャンプ・シュワブ陸上部分の隊舎工事が再開される。感じられるのは、さまざまな理由をつけて反対派リーダーを長期間拘束することによって、抗議行動を萎縮させ、一般市民との分断を図ろうとの思惑だ。

 山城議長はヘリパッド建設に反対する活動中の10月に北部訓練場内の有刺鉄線を切断したとして器物損壊容疑で逮捕され、勾留されている。その後、沖縄防衛局職員にけがを負わせたとして公務執行妨害と傷害の容疑で再逮捕され、拘束はすでに45日にも及んでいる。

 なぜ古い話まで持ち出して3度も逮捕する必要があるのか。なぜこれほど長期にわたって特定の個人を拘束し続けるのか。前代未聞の「政治的逮捕劇」というしかない。 

 機動隊が住民を力で押さえ込み肋骨が折れても何のおとがめもなく、警察の強制排除によるけが人が相次いでいるというのに、この対応はあまりに異様である。

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 基地反対運動の中心的役割を担う平和運動センターへの異例ともいえる捜査は、警察単独の判断とは思えない。

 海上保安庁が反対派の海上抗議行動に対して強硬姿勢に転じたのと同様に、安倍官邸の意思を反映していると見るべきだろう。

 政権に不都合な声を封じ込め、強権発動をためらわない政府の姿勢は非常に危険だ。

 自民党が衆参両院で過半数の議席を確保し「安倍1強」体制が強まる中、行政権力の突出が国会審議をはじめあらゆる場面で顔をのぞかせている。

 特に辺野古新基地建設に関しては、選挙で「ノー」の民意が再三示されているにもかかわらず、警察権力を背景にした強権的な姿勢が際立つ。

 県民の意思よりも、民主主義よりも、日米同盟が全てにおいて優先すると言わんばかりだ。

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 市民らがゲート前にブロックを積んだのは、工事車両が基地内に入るのを少しでも遅らせたいとの思いからだった。 

 辺野古や高江で続く抗議活動の参加者の多くは、沖縄戦や米軍統治時代を知る世代で、新しく基地が造られることに居ても立ってもいられなくなっての行動である。

 憲法で定められた権利と民主主義と、政治のまっとうさを取り戻すための取り組みという性格も併せ持っている。

 国の強硬姿勢が市民の強い反発を招き、かつてない対立を生んでいる。