スタンディングロック・スー族の呼びかけに応じて、全米やカナダからナバホ族、チェロキー族、ホピ族ら1千人を超える先住民が抗議運動に参加した。近年のアメリカにおいては最大規模の先住民の団結行動となっている。これに対して州政府は銃で武装した警察官が発砲や催涙スプレーなどを使って、連日、強制排除を行っている。さらには、事業主が雇った警備会社が、どう猛なシェパード犬などを多数使って、抗議活動参加者を襲わせ多数の負傷者を出す事態になっている。

 同時に、この動きを取材していたジャーナリストたちも多数が逮捕され、この問題を現場最前線で取材していた独立系メディア『デモクラシー・ナウ!』の著名キャスター、エイミー・グッドマンを州検察が何と「反乱罪」で訴追するという動きまであった。さすがに州裁判所はこの訴追を認めなかった。このスタンディングロック・スー族の動きに呼応する形で全米規模で、多くの市民らが立ち上がって声をあげている。

 僕もニューヨークでこの動きに呼応するデモをみたが、彼らのスローガンは『Water is Life(水は命)』という明快なものだった。クリントン候補と民主党大統領候補指名を争ったバーニー・サンダース上院議員は、この建設計画に反対すると公言している。レオナルド・ディカプリオやベン・アフレック、ロバート・レッドフォードといったハリウッドスターらも反対の意思表示を行っていて、この動きはさらに拡大する様相だ。

 きわめつきの事実を記せば、この巨大石油パイプライン建設計画には、トランプ企業が膨大な投資を行っている。先住民の権利をどのようにまもるか。環境アセスメントに明白な欠陥がみつかった場合にどのような措置をとり得るか。抗議活動はどのような形で拡(ひろ)がりをみせ、継続可能なのか。多くの点で学ぶべきことが多い。

 すでにここまでお読みになられた読者諸氏には、何と沖縄の辺野古や高江で起きていることと酷似した出来事が起きているのかと思われた方もいらっしゃるだろう。機動隊員が抗議運動をしている人間に対して「土人」との暴言を発した現場とまさにそっくりの構図がそこに見えるのだ。犬を使って抗議者を襲わせるやり方は相手を同じ人間だとみていないからこそ出来る行為ではないのか。民主主義の圧殺現場は、高江や辺野古と同様に世界の各所にある。だから、翁長雄志知事が高江ヘリパッド建設で膝を屈するような姿をみるのは、いかにも悲しい。

 アメリカで大統領選挙を取材していたさなか、日本からこんなニュースが伝わって来た。機動隊員の「土人」暴言をめぐってのことだ。政府が、鶴保庸介沖縄北方担当相が「差別とは断定できない」と述べたことについて、訂正や謝罪は不要だとする答弁書を閣議決定したというのだ。心底呆(あき)れた。アメリカで、もし「ニグロ」や「ニガー」と公人が発言したとしよう(警察官は公人である)。それを政府が謝罪する必要なんかないと閣議決定などしようものならどうなるか。

 なお、前回の記事で訂正がある。「土人」という言葉が記載された近年の日本の公文書のうち、旧日本軍の公文書でインドネシアに慰安所を設営したことに関する箇所で、インドネシアの地名は「バリクパパン」である。(テレビ報道記者・キャスター)=随時掲載