東京の劇団「こまつ座」の公演「木の上の軍隊」を見た。作家の故井上ひさしさんの原案を、劇作家の蓬莱竜太さんが遺志を継いで完成させた作品で、2013年以来の再演だった

▼沖縄戦時、木の上に隠れて2年間生き延びた沖縄育ちの兵士と、県外出身の上官の2人の物語。伊江島での実話から着想を得ている

▼登場人物はわずか3人で、巨大なガジュマルを据えた舞台は主に兵士2人の対話で進む。コミカルで微妙にかみ合わないが、そこにヤマトと沖縄がそれぞれに向ける“目線”が反映されていた

▼生まれ島を米軍に奪われ基地が造られていくことに焦る新兵は、「あいつらを追い出すために、一緒にいるんですよね」と問う。上官は、島でなく国を守るためにいると叱り「そのことをまったく分かっていない。お前が本当の意味での国民じゃないからだ」と言い放つ

▼新兵は叫ぶ。「守られているものにおびえ、おびえながらすがり、すがりながら憎み、憎みながら信じるんです」。せりふの随所に沖縄と本土の“裂け目”が投影され、今にも通じる痛みを感じた

▼「沖縄は日本なのか」、あるいは「日本にとって沖縄は何なのか」。昨今の政治社会情勢から発せられる問いを思い返した。裂かれ互いに痛む心であるなら、その間に「回路」をつくってくれる舞台だと感じた。(宮城栄作)