金沢で生まれた筆者は、沖縄が日本に復帰する5年前に琉球新報社に入社し、1969年にパスポートを持って船で那覇に渡った。本土防衛のため捨て石にされた沖縄。戦後日本はその沖縄を見捨てたままで高度経済成長を遂げた。日本はこれでよいのか、沖縄をなんとかすべきではないのか、という強い願いを筆者は抱いていた。

河出書房新社・1728円/のざと・よう 1942年石川県生まれ。法政大卒。67年琉球新報社入社。2006年退社後、沖縄国際大非常勤講師、北陸大客員教授を務めた。著書に「癒しの島 沖縄の真実」など

 それから半世紀が経過したが、その願いはいまも叶(かな)っていない。

 冒頭で、辺野古の工事強行に抗議する年配の人たちのことが書かれている。米軍との戦いだった沖縄戦は、食料を奪い、避難する住民を壕から追い出し、スパイと見なして殺害する日本兵も、沖縄の住民にとって恐ろしい存在だった。

 抗議する沖縄県民を「土人」と呼び捨て、その機動隊員を擁護する安倍政権の強権的な姿勢は、沖縄戦のこの日本兵たちの記憶を呼び起こす。私自身、沖縄で暮らしていた時に、幾度もこうした酷(ひど)い日本兵の仕打ちを聞かされた。昔の出来事では済まされない。

 本書は、民主党が政権を担った2009年前後から現在に至る主要な出来事を背景に、普天間飛行場問題を中心に考察している。

 確かに筆者が指摘するように、“癒しの島”沖縄の人気は全国的に高いが、沖縄の人々が願っている基地問題への関心は、東京でも他人事(ひとごと)で希薄である。そして3年前の仲井真前知事がそうだったように、「沖縄は結局、カネで転ぶ」と内心、考えている人が多い。

 だが書名の「沖縄の乱」が示唆するように基地の過重な負担を長年にわたって強いられ続けてきた沖縄の我慢は限界にきている。「戦後70年も経(た)ち、戦後100年に向かおうというこれから、米国の従属国のような国情になっている日本の姿を変えなければならない」と筆者は主張し「沖縄が変われば日本が変わる」とも述べている。

 大統領選挙で勝利したトランプ氏は、日米安保体制の見直しに言及している。沖縄の基地問題を日本全体の問題として考えるチャンスであってほしい。(江上能義・早稲田大大学院教授)