サワサワサワ。ウージ(サトウキビ)の葉のすれる音が南城市に響く。昨年期に2万2千トンを収穫した同市では、およそ1100人が畑で汗を流す。生活に密着した農作物だけに、作業にも、さまざまなしまくとぅばが残る。豊作という今期。農家は17日からの製糖期が待ち遠しい。(南部報道部・又吉健次)

サトウキビの葉を取る仲村薫さん。タバイやマジンといった収穫作業に関するしまくとぅばがあるという=月日、南城市佐敷手登根

【再送】띱サトウキビとしまくとぅばについて語る宮城冨男さん。収穫が楽しみという=月日

サトウキビの葉を取る仲村薫さん。タバイやマジンといった収穫作業に関するしまくとぅばがあるという=月日、南城市佐敷手登根 【再送】띱サトウキビとしまくとぅばについて語る宮城冨男さん。収穫が楽しみという=月日

 「チューヤ、ナカムラケヌウージトーシ。アチャーヤ、トゥナイヌヤードー」(きょうは仲村家のサトウキビ収穫作業。あしたはお隣さんを手伝うんだよ)。

 同市佐敷手登根の農業・仲村薫さん(65)の子ども時代。収穫期に母親のスミ子さん(97)が語った言葉だ。ご近所で助け合う「ユイマール」も盛んだった。

 稲作が盛んだった同区。1962年のキューバ危機で砂糖が高騰すると田んぼは消え、サトウキビ生産が本格化した。仲村さんは8年ほど前、父親の故・良明さん=享年(94)=を世話するため、県外出張の多い仕事を辞めて畑を継いだ。

 収穫作業にもしまくとぅばはある。20-30本ほどをひとまとめにした束は「タバイ」。タバイを並べて横幅1・8メートルほどにし、6段に重ねたものは「マジン」だ。共通語混じりにイチマジンと言うと、一山といった意味だ。

 「あまり積み過ぎると、重くてトラックに上げられない。重さは800キロぐらいかな」

 製糖工場の搬入前に、カリバー(枯れ葉)を取ることも農家の仕事だ。

 一番の楽しみは搬入後、口座にお金が振り込まれたときだ。「シタイヒヤー。ウージェー、ユカトーッサー(やった。キビの収入は良かったな)」と喜んだ。

 およそ6千平方メートルで35トン前後を生産する仲村さん。台風が少なく、キビの成長時期には雨が降った今期。収穫は約40トンを見込む。

  ◇     ◇

 先祖から伝わった農地。財産管理のために畑を耕す人も少なくない。手登根区の宮城富男さん(75)もその一人だ。「ぼくはサラランシーハルサー(やむを得ず、農業をしている人)」と、ひょうひょうと語る。約3900平方メートルほどで、およそ24トンを生産する。

 同区の土はアルカリ性がやや高く、サトウキビに適しているという。植え付けは3~4月の春植え、9~11月の夏植えに分かれる。サトウキビは、25センチほどに切って畝に置く。

 「アメー、トゥカグシ」。植え付け期の雨は10日に1度ほどでよいとの意味で、沖縄民謡にも歌われる。そうやって3週間ほどが過ぎると、芽は10センチほどに成長する。伸びてこない場所には、別のキビを置く。「マルイー」だ。専門用語では「間植」という。

 かつては不動産業を営み「ぼくは経理マン」と話す宮城さん。サトウキビ産業をみる目はシビアだ。規模にもよるが、キビ栽培は「リミヌネーラン(もうけはない)」と指摘。一方で「サトウキビ産業が弱くなると人のいなくなる島も出てくる。配慮が必要」と話す。

 高さ2~3メートルに伸び、青々とした葉が美しい宮城さんのキビ畑。「捕らぬたぬきの皮算用はしない」と言うが豊作はうれしそうだ。

サトウキビの葉を取る仲村薫さん。タバイやマジンといった収穫作業に関するしまくとぅばがあるという=11月28日、南城市佐敷手登根

………………………………………

サトウキビとしまくとぅばについて語る宮城冨男さん。収穫が楽しみという=11月11日