沖縄タイムス+プラス ニュース

「26°16’9.00”N 127°44’31.78”E」って何だ? カナダで沖縄テーマに個展

2016年12月5日 10:36

 【小橋川慧通信員】カナダ・アルバータ州レスブリッジ市在住の和美・マースィエンセンさん(旧姓・銘苅)が11月5日から、同市のキャサ・アート・センターで「26°16’9.00”N 127°44’31.78”E」のタイトルで美術作品の個展を開いている。タイトルは普天間飛行場の位置を表しており、美術作品を通し71年間にわたり沖縄が抱える米軍基地と関連問題を、カナダの人々に知ってほしいとの思いが込められている。

宮森小学校ジェット機墜落事件をテーマにしたランドセルのシルクスクリーン版画と和美さん。赤と紺の配列順は、校内にある「仲良し地蔵」の台座に刻まれている犠牲になった児童の名前(男女)の順に従っている。

「聞こえざる叫び」関連の作品を見ながら解説文を読む人たち=カナダ

宮森小学校ジェット機墜落事件をテーマにしたランドセルのシルクスクリーン版画と和美さん。赤と紺の配列順は、校内にある「仲良し地蔵」の台座に刻まれている犠牲になった児童の名前(男女)の順に従っている。 「聞こえざる叫び」関連の作品を見ながら解説文を読む人たち=カナダ

 浦添市大平出身の和美さんは、実家が米軍機の飛行ルートに近く、爆音におびえた幼児期の記憶があるという。沖縄大学(英語専攻)を卒業後、1994年に語学留学でレスブリッジ市に。アーティストになりたいという長年の夢を実現するため、2008年に市内の大学の美術学科に入学して広範囲に学んだ。

 在学中に普天間飛行場移設問題のニュースに接し基地問題に関心を持ち、10年ごろからアートを通してそれを表現する作品の作成をスタート。今回の個展が「アートを通し沖縄問題を発信したい」との思いを実現する第一歩となった。会場中央には、シルクスクリーンという版画の手法を用いた作品「聞こえざる叫びシリーズ」の名前で、4枚の着物と4本の帯が展示されている。

 普天間飛行場と高江ヘリパッドがテーマで、2枚の黒い着物には、同じ戦闘機のイメージが1枚にははっきりと、他の1枚には不明瞭に刷られており、基地問題に対する世間の関心はメディアが報道する間は高いが、報道が冷めると忘れ去られる傾向にあることへのいら立ちを表現。

 2枚の迷彩色の着物の1枚には「V字型」「L字型」滑走路をイメージした図柄がプリントされている。もう1枚には、沖縄の平和と安全を祈って和美さんの祖母が「ウートートゥ」していた手のイメージが刺繍されている。着物の間に呈示されている帯には、オスプレーと有刺鉄線のイメージが刷り込まれている。

 1959年に発生した宮森小学校米軍ジェット機墜落事件もテーマの一つ。壁一面に、証言集「命の叫び」を読み、この惨事を風化させてはいけないという思いを込めて作成した、赤と紺色のランドセルの版画11枚(犠牲になった生徒の数)が飾られている。

 米軍機の姿のない静かなレスブリッジの空の写真7枚(犠牲になった住民の数)も掲示されている。和美さんは「こんな悲劇は基地がある限り起こる可能性があることを、カナダの人に知ってほしい」と訴える。

 シルクスクリーンによる版画以外の手法でも、和美さんは「不発弾問題」「枯葉剤問題」「米軍基地に悩まされた71年間」をテーマにした作品を展示している。

 キャサ美術館の学芸員、ダーシー・ローガンさんによると、展示会に足を運んだ人たちの多くは、ダーシーさん同様に「初耳だ」「驚いた」「けしからん」などの声が上がったという。ダーシーさんは「作品から、強い制作意欲が伝わる。和美さんの作品に触れて、アートと政治問題との「交点」について思いを巡らした人もいたはず」と語った。個展は12月26日まで。

これってホント!? 誤解だらけの沖縄基地
沖縄タイムス社編集局編
高文研
売り上げランキング: 24,236

あわせて読みたい

関連リンク

沖縄タイムス+プラス ニュースのバックナンバー

沖縄関連、今話題です(外部サイト)

JavaScriptをOnにしてください

アクセスランキング

ニュース 解説・コラム