その野菜との出合いは、メキシコ人の友人が作ってくれたアボカドディップ。アボカドのおいしさを引き出す独特の香りと味わいが食欲を誘った。名はシラントロ。後にパクチー、コリアンダーなど呼び名がいくつもあると知った

▼この1年で話題になった「食」を選ぶ、ぐるなび総研の「今年の一皿」に、パクチー料理が選ばれた。本土では専門店も登場。サラダや鍋料理のほか、カクテル、レトルト食品、菓子類の商品化も目立った

▼エスニック料理などで薬味的な存在から、主役に踊り出たというから面白い。パンチの効いた味と香りだけに好みも分かれるが、健康志向や強い個性を求める世相の反映か

▼そんなパクチー。与那国島では、冬場の「主食」になると聞いて驚いた。地元では「クシティ」と呼び、ツナ缶とあえて、山盛のサラダにして食べるのが主流という

▼町産業振興課の担当者によると、島内で出荷している生産農家は数軒。家庭で食べる分を栽培している家も多いとか。10月ごろから1月上旬までが収穫ピークで、これからが旬の味を楽しめる

▼「島でしか出せない勝負できる味」。ほかより味が濃く、香りも強いというクシティに、県外から問い合わせも増えており、町では特産品の模索も始めたいという。日本最西端から新たなブームの誕生も期待できそうだ。(赤嶺由紀子)