学校側に人権侵害に当たる行為があったのは明らかである。

 アジアなどの外国人留学生を対象にした本島南部の日本語教育機関(日本語学校)が、学生の旅券(パスポート)と健康保険証を預かり、管理していたことが分かった。

 ネパール出身の学生に対しては、一時、入管難民法で本人の常時携帯が義務づけられている在留カードも取り上げていた。

 学校側は、これらの身分証を最長で約1カ月、預かっていたという。

 日本語教育振興協会(日振協)がまとめた「留学生の受け入れに関するガイドライン」は、法律上の手続きに必要な場合に限って、本人の同意の下で旅券を預かることができる、と定めている。

 仮に問題が発生した場合でも「旅券や外国人登録証明書を預かったり、金銭を徴収するなどの拘束的手段をもって対処してはならない」と、いたって明確である。

 法務省の福岡入国管理局那覇支局も「たとえ本人の同意があったとしても、学校が旅券や在留カードを預かるのは人権侵害行為にあたる」と指摘する。

 学校側は「失踪や犯罪利用を防ぐため」だと言い、「きれい事ばかりでは学生の管理ができない」と反論する。

 人権侵害が明らかな行為をなぜ、実施したのか。ガイドラインさえ守れないような現実とは、一体何なのか。問題があれば、「教育的配慮をもって解決にのぞむ」というガイドラインの指摘をお題目に終わらせてはいけない。

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 昨年だけで県内の日本語学校から50人以上の学生が失踪したといわれる。

 留学ビザの期限が切れた過去1年間の不法滞在者の発生率が全学生の5%以上の日本語学校は、法務省から「非適正校」の烙印(らくいん)を押され、ペナルティーとして「適正校」と異なる扱いを受ける。

 「数人の行方不明者が出ると(学校経営にとって)死活問題になる」のだという。

 しかし、だからといって、在留カードなどの身分証を預かるような「拘束的手段」が認められるわけではない。

 日振協は、日本語学校を審査し認定する役割を担っている。2010年の事業仕分けで3年ごとに再審査する制度が廃止されたため、現行制度では「開校の認可さえ受ければ、その後の運営に第三者の目が入ることは少ない」と佐藤由利子・東工大准教授は指摘する(6日付本紙)。

 開校後のチェック体制を確保することは、「ブラック校」出現の歯止めになるだけでなく信頼の維持にもつながる。

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 15年5月現在の県内の外国人留学生は2039人。増加傾向が著しいが、とりわけ政情不安の続くネパールからの留学生が12年ごろから急に増えた。

 留学生は大学や大学院、高等専門学校、日本語学校などに通いながら、週28時間の範囲での資格外活動(アルバイト)が認められている。これらの留学生が安心して教育を受けるには、宿泊施設や相談窓口の充実など受け皿の整備が欠かせない。