久米島町比嘉にある純黒糖の専門店「おやつ村」は心優しい「鬼嫁」が営む。嫁ぎ先の義父、儀間光明さん(79)の手作り純黒糖の味を広めたい-と情熱を燃やす儀間一美さん(50)だ。1950年代に始まった雑貨店の品を黒糖一本に絞り込んだほど、ほれ込んでいる。お年寄りに限らず、幅広い年代においしさを伝えたいと新たに黒糖を使った「鬼嫁まんじゅう」を生んだ。9~11日、那覇市久茂地のタイムスビルで開かれる「久米島町 観光・物産と芸能フェア」で本島初お披露目する。(南部報道部・堀川幸太郎)

義父の手作り純黒糖の味を広めたいと儀間一美さんが考案した「鬼嫁まんじゅう」

手探りで昔ながらの純黒糖作りの技をよみがえらせた儀間光明さん(左)と、長男嫁の一美さん。互いになくてはならない家族であり、仕事仲間だ=11月30日、久米島町比嘉の「おやつ村」

義父の手作り純黒糖の味を広めたいと儀間一美さんが考案した「鬼嫁まんじゅう」 手探りで昔ながらの純黒糖作りの技をよみがえらせた儀間光明さん(左)と、長男嫁の一美さん。互いになくてはならない家族であり、仕事仲間だ=11月30日、久米島町比嘉の「おやつ村」

 直径約5センチの「鬼嫁まんじゅう」は黒糖作りの過程でできる糖蜜を練り込んだ薄めの皮で、こしあんを包む。甘すぎないか-と思いつつ一口含めば、それぞれ控えめに仕立てた甘みが互いを引き立てる。

 形を整え、米油で揚げてカリッとした歯触りも楽しめるようにした。冷凍すれば味や歯触りの軽快感が際立つ。純黒糖でミネラル分が豊かなため、凍らせても皮が硬くなりすぎない。パッケージには「鬼嫁は冷たーい!」「いつもカリカリ!」と、お薦めの食べ方や食感をコミカルな絵入りで記した。

 光明さんは家族の介護のため、本土の大学職員を早期退職。島に戻って3年後の2000年、幼少期に故郷の島で見た製法を手探りで再現しながら黒糖作りを始めた。

 自宅裏の倉庫を改装した工房で本格的に製品化したのは03年。毎年12月~翌年5月、サトウキビを絞って週2回、約4時間かけて大鍋で煮て約60キロを作る。成形に必須の食用石灰を除けば無添加で、食の安全や自然志向にも配慮した。270グラムで税込み865円と割高だが、滋味深い甘みが口コミで広まり、ほぼ島内だけの販売で毎年秋には完売するという。

 義父の黒糖にほれ込む一美さんは、若い人にも味を伝えたいと13年、「鬼嫁まんじゅう」を発案。名前は、顔の広い光明さんが多忙な製糖期にゴルフなどの誘いを断る際に一美さんのせいにしたため、周囲に「鬼嫁だな」と言われたのがきっかけという。

 最初は地元の直売市などで1個から販売。たちまち人気が広がり50個、100個とまとめ買いする観光客もおり手応えを得た。ことし11月、自店と久米島空港の売店で本格発売した。

 一美さんは「研究熱心なお父さんがいなかったら今、食べていくこともできない」と感謝する。光明さんは「仕事仲間として、家族として、ざっくばらんに思ったことを言い合える。感謝の言葉? いつも言ってますよ」と2人で顔を見合わせて笑った。

 鬼嫁まんじゅうは久米島フェア初日は1個150円が130円(100個限り)。8個入りは1箱で税込み1580円。注文も受ける。連絡先はおやつ村、電話098(985)8115。