【南風原】琉球かすりの女王に選ばれた49歳の母親の挑戦が、パニック障がいの娘に勇気を与えている。「チャレンジに年齢は関係ない」との思いでコンテストに出場。母の背中を見た娘は「もう一度、大好きな琉球舞踊に取り組みたい」と意気込む。(南部報道部・又吉健次)

「かすりの女王ミセスあいぞめ」に選ばれた玉城智子さん(中央)と、(左から)長女伊稀さん、母親前田米子さん、三女舞歩さん、次女美祐さん=月5日、南風原町立中央公民館

 琉球かすりの女王「ミセスあいぞめ」に輝いた女性は、南風原町兼城のエステティシャン、玉城智子さん。応募は、次女の美祐さん(20)が2014年8月、琉球舞踊の新人賞受験を断念したことがきっかけだ。

 智子さん一家は以前、都内で生活。美祐さんが中学3年の時、いじめに遭い、パニック障がいを発症した。その後、智子さんの実家がある糸満市に近い南風原町へ移住した。

 エイサー好きの美祐さんは沖縄で琉舞を始めた。しかし、稽古とアルバイト生活の中で過呼吸の症状が現れ、新人賞の受験を断念。知人が何人も合格しており、置いてけぼりにされた気持ちが募った。

 娘を励まそうとしたが、美祐さんは反発。そんなとき、偶然見つけたのが、かすりの女王選出を知らせる町の広報誌だった。「お母さんも挑戦するから」と約束した。

 本当は、人前に出ることが大の苦手。応募用紙をもらえず役場から帰宅したことも。しかし、「親の姿を子どもは見ている。ここで諦めたら一生後悔する」と意を決して申し込んだ。

 2年に1度の大会は11月5日に開催。舞台の幕が上がり、笑顔の智子さんが現れた。なぜか涙があふれたという美祐さん。母が女王に選ばれた際には喜ぶ気持ちと同時に、拍手を浴びて輝く姿を見て「悔しかった。自分も女王に選ばれたかもしれないのに。一歩踏み出す気持ちが湧いた」という。

 智子さんは「女王として南風原のことをもっと知りたい。町の特産品の良さも伝えられたら」と話す。女王4人の初仕事は、来年1月4日の町新年宴会だ。