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  • 県立2病院が医師の時間外賃金未払いで労基署の是正勧告を受けた
  • 割増賃金の算定方法が背景にあるが、未払い額は億単位とみられる
  • 県は全医療従事者を精査するが、病院経営・救急体制への影響を懸念

 時間外(当直)勤務の医師らに対する賃金未払いがあるとして、沖縄県立北部病院と南部医療センター・こども医療センターが11月、名護、那覇両労働基準監督署から労働基準法に基づき、過去2年にさかのぼり適切に支払うよう是正勧告を受けたことが8日、分かった。本土復帰の年から44年間、県立病院で続く割増賃金の算定方法が背景にあり、県病院事業局は全6病院に「同様の実態がある」と説明。対象の医師・歯科医師は現職だけで約330人、未払い額は億単位に上るとみられる。

県立病院医師 時間外(当直)勤務の割増賃金

 伊江朝次・病院事業局長は「勧告は真摯(しんし)に受け止めるが、病院経営への影響は計り知れない。限られた予算の中で、救急医療体制を縮小する議論にもつながりかねない」と懸念する。

 県立病院課によると対象は午後5時から翌日午前8時半まで15時間半、救急対応などに当たる当直医師ら。割増賃金を巡っては1972年11月に当時の県厚生部長名で各県立病院長に対し、一律に8時間分を1時間当たり2・5割増で支給するよう通知が出され、慣例化した。残る7時間半分は「休憩や自由時間と認識してきた」という。

 一方、県職員給与条例、規則では時間帯によって平日、土日・祝日は2・5~6割、時間外勤務が月60時間を超えた場合は最大7・5割の割増賃金を設定。労基署には、拘束時間中は救急対応に備えた「待機」であり、適切な割増賃金を払うべきだと指摘された。

 労基署の立ち入り調査は病院職員OBの情報提供を基に7月に北部病院で、9月には南部医療センターであったという。是正勧告はこの2病院だけだが、病院事業局は看護師などを含めた全病院の医療従事者を対象に、賃金未払いがないか精査を進める。