女性にとって、美容院とは特別な場所。髪の毛に優しく触れる美容師さんが鏡越しに目を見つめ、耳元でささやく。「すごく似合ってますよ」。逃げ場のない椅子の上で、甘く優しい言葉をささやかれ、恥じらいつつも、喜びをひそかにかみしめる。もし、少し疲れた寂しい女がそんな甘美にハマってしまったら…。想像しただけでも恐ろしい世界が映像になって登場。

「だれかの木琴」の一場面

 常盤貴子演じる主人公・小夜子は夫と娘との3人暮らし。一軒家も手に入れ、幸せ絶頂なはずなのに、なぜか寂しげ。ふと立ち寄った美容院で髪を切ってくれた美容師の海斗(池松壮亮)からお礼のメールが届いた時、小夜子の中で何かがざわめいた。営業メールに返信を続け、美容院に通い、海斗の自宅まで探し当てる。自分の中の「女」と「寂しさ」を持て余した小夜子の日常が少しずつ壊れていく。(桜坂劇場・下地久美子)◇桜坂劇場で上映中