県知事の翁長雄志氏は常に闘いの場にいる政治家である。時には寸鉄人を刺す鋭い言葉で政敵を攻撃し、戦略性に富んだ仕掛けで県内政局を動かしてきた

▼保守政治の一家に生まれ、保革対立の厳しさや悲しみを幼い心に刻みこんだ。那覇市議、県議時代は、革新の市政、県政に舌鋒鋭く切り込んだ

▼大田昌秀知事(当時)に対し、追及の急先鋒(せんぽう)に立った。県議会代表質問で、大田氏をウイスキー党と指摘し、「県産品の泡盛を侮辱している」と責め立てたのは有名な話だ

▼政争に奔走し、那覇市長を務めた翁長氏の転機は、54歳でがんが見つかり、手術を受けたことだという。著書「戦う民意」(角川書店)でこう明かしている。「残りの人生、子どものころから思いを重ねてきた『沖縄県民の心を一つにする政治』を力の限り実現したい」

▼名護市辺野古の新基地建設阻止を掲げて知事選に当選した翁長氏は政府と対立し、裁判闘争に至っている。県民の「誇りをかけた戦い」のまっただ中にいる

▼就任から2年。県議会では与党が過半数を占め基盤は盤石。経済でも好調な観光などを背景に追い風が吹く。辺野古新基地阻止の戦いは厳しさを増す。翁長氏は新基地を造らせないとの公約実現に向け「あらゆる手段を用いる」とぶれていない。「苦渋の選択」はあり得ない。(与那原良彦)