沖縄の次世代のリーダーを育てる「Ryukyufrogs」のLEAPDAYが11日、沖縄セルラーパーク那覇で開かれた。中学生から大学生の9人の8期メンバーをはじめ、シリコンバレーなどで活躍する投資家や弁護士らも登壇。沖縄からスタートアップ(起業、操業開始)する秘訣(ひけつ)とは? 登壇者のプレゼンをまとめた。

RyuukyufrogsのLEAPDAYの参加者ら

■500 Startups Japan マネージングパートナー 澤山洋平氏
テーマ「ローカルからグローバルへ:地方におけるスタートアップの育て方」

 500 Startupsは、世界でもっともアクティブなベンチャーキャピタル(以下、VC)で、年間で数百社に投資をしてきた。世界60カ国で投資の交渉をしている。スタートアップに関わる人は人種、言語がばらばらな150人。そういう人たちが企業を見つけている。時価総額が1000億円を超えるユニコーン企業に成長した企業もある。

 今、それぞれの国に合わせた投資を展開し、僕は日本を担当している。日本は日本語の壁が大きいので、世界に日本企業のことを届けることが僕のミッションだ。そして、起業家のために学びの場を作っている。
 

 


 今年、神戸で、アジアで初めてのアクセレレータープログラムをやった。神戸市はベンチャーを育てたという思いがある一方で、ベンチャー企業がなかなかないと分析していた。神戸にスタートアップが集まり、育って外に出て行く形を取った。約200社の応募が集まった。


 プログラムでは、ベンチャーキャピタルを学び、起業家のアドバイス、メンタリング、サービスの価格付け、広告の専門家とは価格を決めていったりもした。
特に、ピッチ(短時間のプレゼン)は自分の考えがまとまってブラッシュアップされていくので、参加者たちは最初から最後までずっとプレゼンの練習。少しずつ磨かれていった。20社がお互いにそれぞれのプレゼンを見せ合うことで、お互いをよく知ることができて、会社や人を紹介し合えたりするやりとりも生まれた。

 デモデイでは、250人ほどの投資家を集めたし、プログラムを支えたのがアメリカから来た専門家たち。今後も夏に日本に来るので、今、どうやって横に広げていくかを考えているところ。

 なぜ、僕たちがそういった取り組みをしているのか。それは、エコシステム(人や企業が結びつくしていく仕組み)を作るため、ユニコーン(評価額が10億ドルを超えるスタートアップ)を生むため、世界を変えていくスタートアップを作るため。

 僕たちは銀行などからお金を集めてくる。でもVCとして、僕たちはただ投資するだけではなく、スタートアップと連携していく企業、行政の人を増やさないといけない。だからこそ、エコシステムの構築支援をしているし、イベント、コミュニティー作りをやっている。そして教育。ベンチャー、行政も育てていかないといけない。

 ただ、これまで投資した600社のうち、すでに半分はなく、ユニコーンになったのは2.5%。97%は失敗する。だからエコシステムが必要。だからたくさんの挑戦やベンチャー企業を生んでいかなければいけない。そこを僕たちは支援していく。失敗しても応援していく。これが僕たちの仕事だ。
シリコンバレーは場所じゃない。マインドセット(意識、考え方、覚悟)だ。「僕たちが世界を変えるという信念」と「うまくいくという楽観的な気持ち」が大事。そしてこの二つは、どこでも作り出せる。
僕たちはこの挑戦を応援していきたいと思っている。

■BEENEXTパートナー Hiro Maedaさん
「世界から見える日本の未来に必要なもの」

これから何かをやりたいと構想しているベンチャー企業にお金を出す仕事をしている。すでに会社の売り上げが数千億円になった企業もある。毎週、インドやインドネシアに旅に出て、投資している。
 特にインドは今、13億人いる。UBER(スマホを活用した配車サービス)のサービスも伸びている。ベンチャー企業への投資額は、日本の1年分がインドの3カ月分。情報感度も高く、アメリカで働いたことがある人たちもいる。インドネシア、ベトナムもものすごく成長しているし、平均年齢が低い。
 アメリカでは、影響力のあるテクノロジーの企業がどんどん大きくなっている。時価総額1000億円を超えた企業も急速に増え、クラウドサービス、EC(電子商取引)も伸びている。

 

 世界から見える日本の未来に必要なものは何か。
 一つは「ジュガード」。
ヒンディー語で、「~する」というニュアンスで、「巻き込む」「柔軟性」「倹約」の3つが合わさった言葉だ。

 もう一つはアメリカでは、multi-discipline(マルチディシプリン)、つまり多様性をもった専門家たちがいるので、イノベーションが起きている。医者、NASAの職員たちがベンチャー企業を立ち上げていたりする。

 この二つの考えを日本に持ってきたらいいんじゃないか。

 この先、30年、40年で「AI」(人工知能)「Robotics」(ロボット工学)「Biology」(生物学)「Medical」(医療)の4つの分野でイノベーションが起きると思う。

 さらに、勉強してほしいのは、プログラミング。ソフトウエアがどういう風に動いているかを知っているかだけで実現する力ができる。情報に対しての感度やアンテナが敏感になるので、イノベーションを捉えて、プログラミングスキルを持てば新しい価値に変えていける。

 ジュガード(ヒンディー語で、革新的な問題解決の方法)はどう身につけるのかに関しては、「どうやったらもっと勉強に集中化できるのか」「どうやったら寝ながらテレビを見られるのか」など、部屋の配置を考えるように身近なところから日々、考えていくしかない。
    
■リクルート メディアテクノロジーラボ 麻生要一さん
「イノベーターコミュニティTECH LAB PAAKと、リクルートがつくる未来の社会」

 リクルートに新卒入社して、現在33歳。2年目に社内新規事業プロジェクトで優勝。現在、リクルートから起業家を生み出す仕掛けをするグループ新規事業開発統括、ITベンチャー経営、スタートアップ・イノベーター支援をしている。

 

 10代の時、僕が何をしていたのか。

 原点は、高校に作った演劇部。脚本を書いて、演出して、新しいものづくりの原点はそこにあった。大学生のときは祭りを立ち上げて商店街を盛り上げたり、愛知万博で飲食店を出したりした。これは今も変わらなくて、誰かの心を動かす仕事がしたい、人を感動させたいという気持ちで仕事をしている。

 リクルートは1960年、求人広告の会社としてスタートした。「ゆりかごから墓場まで」を掲げている。学校はどこに行ったらいいのか、誰と結婚したらいいのか。意志決定に選択肢を与えるメディアをやってきた。「ゼクシィ」「じゃらん」のようなメディアをやっている。グループ連結売り上げ1.58兆円、日本で46番目(19日午後2時50分時点)に大きな会社だ。

 ただ、すべてのサービスはたった1人の情熱ある人間が始めた新規事業。これには、リクルートに連続的に新規事業を生み出すしくみがある。「NEWRING」という言葉に凝縮されている。1990年から欠かさず開催している新規事業コンテストだ。

 優勝した作品は必ず事業化。言い出しっぺにやらせることが決まり。これは大企業ではなかなか難しいが、可能性があるなら、信じてやらせている。この仕組みがあるので、リクルートの3万人の社員は意気込みにあふれている。ミートアップ(ある目的をもった集まり)、サミット(会議)など、やりたいことをサポートする取り組みも豪華にある。

 


 最近は、過疎地の高齢者にもカーシェアリングができるサービス「あいあい自動車」や、全国どこでも地域限定のテレビ番組が見られるサービス(エムキャス)が始まっている。預かってほしいときだけ預けられる、保育園を予約できる仕組みを作ろうとしている。

 いま、そういった事業をリクルートの外にも広げようとしている。世界の変わるスピードが速すぎるので、社内起業家、リクルート外の起業家、大企業や行政、社会とつながって、この国や世界をもっとよくしていきたい。その中でやっているのが、渋谷にある「TECH LAB PAAK」のオフィス。生まれたてのスタートアップの立ち上がりを支援している。

 この2年間でスタートアップをしている1000チームを見てきた。その中から、何かをなす人に共通するものとは「強い原体験」。これがあるかないかだ。でも原体験なんて、最初は誰もない。

 でも、持っていなくてもそれなりの原体験を持つことができる。それは何かを初めてやり続けるということ。やればやるほど逃げられない体験を通して原体験が生み出される。
まずは何かを始めてほしい。その1歩をずっとやり続けてほしい。やり続けると、原体験に昇華することがあるので、ぜひ、やり続けてほしい。