「無理無理無理!」。職場の同僚らが同時にこんな声を上げた。経済産業省や経団連、小売りなど業界団体が打ち出した「プレミアムフライデー」のニュースにだ

▼個人消費を促すのが狙いで、来年2月から毎月末の金曜日に終業時間を早める取り組みを企業に呼び掛けるという。死語と化したが、金曜の夜に街に繰り出す「花金」の現代版といったところか

▼横文字のネーミングは目を引くが、次の瞬間思わず眉をひそめてしまう。午後3時に仕事を終えられるのか。給与は引かれるのか。週明けの仕事にしわ寄せが来ないか-

▼低迷する景気。消費喚起の機運を高める試みにケチをつけるつもりはない。ただ、消費を生み出すための決め手はやはり懐具合。企業の賃上げが進まない中、将来の社会保障への不安などもあいまって家計の節約志向は続く

▼「自分や周りの人の給料やボーナスなどの収入が増えていない」。日本世論調査会の調査で、景気が悪化していると回答した人が挙げた最も多い理由だ。企業頼みの賃上げ策が奏功しないアベノミクスへの期待も薄い

▼経産省は働き方改革などもあわせて推進するとしているが、2億円をかけた消費喚起の取り組みに、労働者の視点は弱い。長時間労働や人手不足の解消、人への投資がないままでは、消費意欲は簡単に高まらない。(赤嶺由紀子)