パーマや毛染めなど島のおしゃれを支える、沖縄県渡名喜(となき)村で唯一の「島の美よう室」。訳あって休業するピンチに、久米島と大阪府の美容師2人が11月から駆け付けて応援。島の人をさっぱりさせている。店を営む男性は「島外に出られないお年寄りのために助けてもらった」と喜ぶ。(南部報道部・又吉健次)

渡名喜島唯一の美容店「島の美よう室」を手伝う玉城津嵩さん。久米島町から通う

東大阪市の美容室で、飼い猫とほほ笑む甚田都代美さん

「島の美よう室」を開業した福田隆俊さん(左)と長女の岡夏子さん、孫のことはちゃん

渡名喜島唯一の美容店「島の美よう室」を手伝う玉城津嵩さん。久米島町から通う 東大阪市の美容室で、飼い猫とほほ笑む甚田都代美さん 「島の美よう室」を開業した福田隆俊さん(左)と長女の岡夏子さん、孫のことはちゃん

 島で美容室を開業しているのは茨城県の美容師福田隆俊さん(57)。2008年、初めて島を訪ねた。「家族や自分で切るため、髪形の整っていない人が多かった。はさみを持っていれば」と考えて島を再訪。散髪サービスが喜ばれたことから09年3月「毎月、10日間営業」の限定で開業した。

 古い民家を改修した店には子どもからお年寄りまで多くの人が集まる。しかし、茨城の美容室を任せている長女が育休を取ることになり11月~来年1月の3カ月間、島に渡れなくなった。応援を募ると、久米島町の玉城津嵩(つかさ)さん(34)と、大阪府の甚田(じんだ)都代美さん(53)が手を挙げてくれた。

 玉城さんは、久米島の店の休みを利用して定期船で約1時間半かけて移動。「地元とは自然も違うし、リフレッシュになる」と話す。夜は居酒屋でお酒も酌み交わし「次はいつ来るの、と聞かれることも多い。頼りにされ感謝されていると感じる」と喜ぶ。

 東日本大震災の際にボランティアとして手伝えなかったことが心残りという甚田さんは「待ってましたとばかりに来るお客さんもいて、渡名喜の方が忙しいくらい。娯楽の少ない島では、美容も楽しみの一つだと感じた」という。

 2人は別々の日程で月に3日ほど滞在、これまでに延べ65人ほどが来店した。桃原秀幸さん(77)は「那覇でも散髪できるけど、船賃も宿賃もかかる。毎月来てもらえたら、島も助かる」と笑顔で話す。

 福田さんは、2月から復帰予定だ。「旧正月や敬老会などの催しのために髪を整えたい人も多い。見た目が若いと元気になる。長生きの手助けになれば」と話した。