社説

社説[きょう式典と集会]「複合負担」を直視せよ

2016年12月22日 12:53

 44年前の復帰の日を思い出させるような状況設定だ。

 1972年5月15日のあの日、那覇市民会館では復帰記念式典が開かれ、隣接する与儀公園では基地撤去などを求める復帰協主催の県民総決起大会が開かれた。

 そして44年後のきょう22日。名護市内で政府主催の「北部訓練場返還式・祝賀会」とオール沖縄会議主催の「オスプレイ撤去を求める緊急抗議集会」が開かれる。

 政府が菅義偉官房長官ら大臣出席の下で返還式典を開くのは、北部訓練場の約半分(4千ヘクタール)の返還を強調することによって負担軽減が着実に進んでいることをアピールし、辺野古の埋め立て工事につなげるねらいがある。

 返還式を別の側面から見れば、東村高江の集落を囲むように新たに建設した6カ所の着陸帯(ヘリパッド)をフルに使って、オスプレイの本格的な訓練が始まることを意味する。面積の減少と基地の機能強化がメダルの裏表になっているのである。

 辺野古違法確認訴訟で県敗訴の判決を言い渡した最高裁は、普天間飛行場の代替施設の面積が縮小されることを強調しているが、面積だけで評価するのは一面的だ。

 北部訓練場の返還面積は確かに大きい。けれども、その半分が返還されても、米軍専用施設の面積は全国の約74%から約70%に改善されるのにとどまる。

 沖縄の基地負担の特徴は、世界にもほとんど例がない「複合過重負担」になっていることだ。沖縄の現実を見る場合、その視点が欠かせない。

■    ■

 「複合過重負担」の実態はどのようなものか。

 基地特権を保障した地位協定が復帰の際、そのまま沖縄に適用されたことは、沖縄に過重な負担を背負わせる結果を招いた。

 オスプレイが民間地の浅瀬で大破しても日本の捜査機関は捜査すら認められない。基地内に墜落すると、立入調査も思うに任せない。

 在沖米軍兵力の約57%、施設面積の約75%が海兵隊である。米本国の基地に比べ沖縄の海兵隊基地は極めて狭く、住民地域に隣接している。演習に伴う事故だけでなく兵員の事件も絶えない。

 陸上だけでなく、本島周辺の海や空も訓練空域、訓練水域に覆われている。墜落事故は海上でも起きている。

 米本国では軍と住民の話し合いの場が設定され、住民の要求に基づいて飛行ルートを変更したり訓練を中止することがあるが、沖縄にはそれもない。

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 海外の米軍基地で最も資産価値の高い嘉手納基地が本島中央に位置していることも無視できない負担だ。

 嘉手納基地も普天間飛行場も、司法が騒音被害の違法性を認め、国に損害賠償の支払いを命じている。嘉手納基地内で19日朝、海軍のP8対潜哨戒機がけん引用の装置と接触し、機体を損傷した。「クラスA」に該当する「重大事故」と判断しているという。

 沖縄の基地負担は単なる基地負担ではない。複合的で過重な、人権や自治にもかかわる負担なのである。

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