北部訓練場の部分返還を祝う式典が名護市の西海岸で開かれた22日、東海岸の安部では米軍が墜落したオスプレイの回収作業を終えた。機体は米軍の「財産」。結局、海上保安庁は指一本触れられないままだった。

オスプレイ墜落現場で、アダンの実のように見えたのは米軍が現場を規制していたロープだった=22日、名護市安部

 昼間、9日ぶりに立ち入り規制が解除された浜辺に入ってみた。アダンの木に実がなっていると思ったら、違った。米軍が張った立ち入り禁止の黄色いテープがぐるぐる巻きになり、残されていた。

 米軍は「神聖不可侵」。このテープにすら触れられないのだろうか。自生するアダンの木が沖縄に、巻き付けられたテープの塊が米軍基地に重なる。

 夕方、返還式典の後、菅義偉官房長官は「苦労に苦労、努力に努力を重ねた」と強調した。そうまでして実現したのは、米軍報告書が「使用不可能」と呼ぶ土地を返してもらい、新たなヘリパッドを提供する程度のことだった。

 返還式典では、ケネディ駐日米大使らが返還地を示す写真パネルを贈り、政府や地元2村の代表がありがたく受け取る演出まであった。地元の騒音被害を顧みず、反対運動は力で排除する一方で、米国には徹底的に従属する。脱力感すら覚える光景だった。

 夜、やはり名護市内で開かれたオスプレイ墜落への抗議集会で、参加者は口々に命の危険を語った。政府の姿勢がどうあれ、命の問題で譲るわけにはいかない。そのことを再確認する1日になった。(北部報道部・阿部岳)