高江や辺野古に通い続けているフォトジャーナリスト森住卓さんならではの貴重な記録だ。高江や辺野古の座り込みの現場に通うと、おのずと沖縄戦を体験した高齢者の方々と出会う。実は、本書に登場する8人の主人公のうち、沖縄戦時1歳だった方を除く7人は、評者も存じ上げている戦争体験者の皆さんだ。辺野古住民の島袋文子さんら4人の方とは日頃親しく会話させていただいており、3人の方とは挨拶を交わしたことのある関係だ。これまでさまざまな沖縄戦証言集に目を通してきているけれども、本書は特別な思いで読むことになった次第である。

「沖縄戦・最後の証言-おじい・おばあが米軍基地建設に抵抗する理由」(新日本出版社・2160円)/もりずみ・たかし 1951年生まれ。フォトジャーナリスト。「セミパラチンスク」で日本ジャーナリスト会議特別賞、平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞。「福島第一原発 風下の村」「やんばるで生きる」など著書多数

 夏ごろ一気に読了し、なぜ沖縄戦体験者が全身全霊で新基地建設を阻止しようとしているのか改めて理解できた。そして今、オスプレイが墜落し、辺野古訴訟の最高裁判決が示され、オスプレイ着陸帯新設が前提の北部訓練場部分返還の式典が行われようとするこのタイミングで読み返してみて、一層多くの人に読んでほしいと痛感する。

 戦後71年目でいまだに沖縄に広大な米軍基地を押し付け、しかも基地機能の強化を図りながら「沖縄の負担軽減」を進めているのだとうそぶく「A級戦犯」は、もちろん安倍政権の閣僚や高級官僚だが、彼らは皆戦後生まれで戦争の本当の恐ろしさを知らない。

 だから本書を読ませたいのは、第一に彼らである。あるいは現場の防衛局員や全国から沖縄に送り込まれた機動隊員たち。ここに登場する戦争体験者の苦しみと平和を希求してやまない心を知れば、沖縄に対するおぞましい態度も少しは改まるはずだと思いたい。

 沖縄戦体験者の4割が「戦争PTSD」に苦しんでいると調査で明らかになったのは2012年だが、本書の登場人物は、ほぼ全員「戦争トラウマ」を抱えて戦後を生き抜いてきている。

 島袋文子さんや対馬丸生存者の平良啓子さんの、知る人ぞ知る体験談が綴(つづ)られる一方、本書で初めて世に知らしめられたと言って過言ではない凄絶(せいぜつ)な戦争体験の証言もある。どの証言を読んでも、胸の底から熱く込み上げるものを抑えるのに苦労する。(渡瀬夏彦・ノンフィクションライター)