読谷村渡慶次の住宅街。主要道路から何度も曲がり、たどり着いた「カフェつちなる」は一般の民家のようだ。気を付けないと見過ごしてしまうほど周囲に溶け込む。一歩店内に足を踏み入れると、赤ちゃんをおぶったまま調理する新城康弘さん(43)が温かく迎え入れてくれた。

前菜、スープ、メイン、デザートに、それぞれ旬の野菜がふんだんに使われる人気の「ウチゴハン」(1200円)

廃棄される野菜を見るのが苦痛で「全部使いたい」と細かな調理の工夫を重ねる新城康弘さん(左から2人目)と妻の絵利奈さん(左端)=読谷村渡慶次

前菜、スープ、メイン、デザートに、それぞれ旬の野菜がふんだんに使われる人気の「ウチゴハン」(1200円) 廃棄される野菜を見るのが苦痛で「全部使いたい」と細かな調理の工夫を重ねる新城康弘さん(左から2人目)と妻の絵利奈さん(左端)=読谷村渡慶次

 「つちなる」とは「土」偏に「成」。康弘さんの実家をリフォームし、妻の絵利奈さん(37)とつくった「自分たちの『城』」だ。来年6月に10周年を迎える。3人の子どもは、店を切り盛りする夫婦のおんぶひもで育った。

 「僕は、まだまだ修行中」「自分が好きなことを一つ一つやっているだけ」と康弘さんは控えめに言うが、たくさんの料理の一品一品はどれも手が込んでいる。

 自家製生ハムのサラダやイカスミと野菜のキッシュ、手作りフォカッチャにカレー風味のタマネギソース…。タマネギのみそ焼きは蜂蜜などを混ぜて1回、八丁みそと赤ワインソースで2回目を焼く。

 使えるものは捨てたくない-。パスタは野菜たっぷり。ブロッコリーやキャベツの芯は前菜に、ゴーヤーの煮浸しの汁は捨てずに寒天にする。

 規格外品を知人から安価で仕入れた定番のトマトのポタージュも、そんな思いからだ。土産品に出せないと引き取った黒糖は口溶けさっぱりのアイスに生まれ変わる。

 遠くから探して来てくれるお客さんに少しでも喜んでもらいたい-。アレルギーのある子にも食べてもらえるようにデザートの食材も工夫する。一歩ずつゆっくりとつくってきた夫婦の「城」は細かな気配りであふれている。(中部報道部・溝井洋輔)


 【店舗メモ】読谷村渡慶次1183の1。営業時間はランチが午前11時半~午後4時、ディナーは予約制。日曜定休(年末・年始休は30日~1月2日)。座席は20席ほどで、駐車場は約10台。電話098(958)1868。