2017年は酉(とり)年。沖縄県浦添市経塚の渡久山盛吉さん(88)の農場では県天然記念物の鶏、チャーン約20羽が美声を競い合っている。「ケッケーーン」と伸びのある甲高い声を5秒近く響かせ、一瞬の間を置いて最後に「ケン」と鳴く様子がユーモラスだ。

「美声だね。上等さー」。元気よく鳴くチャーンを見守る渡久山盛吉さん=30日午後2時、浦添市経塚・トクヤマ農園

 15世紀ごろ、ヤギなどと共に中国から導入されたといわれ、歌う鶏を意味する唱鶏(チャンチー)が原名。鳴き声が果報を招くとして首里の士族を中心に広まったとされる。

 渡久山さんは経塚の農家で育ち、幼いころから飼育してきた。「ビブラートが混じらず、伸びのある澄んだ声を聞くのが毎日の楽しみ。元気が出る」。豆腐やパン、米ぬかなどを混ぜた栄養価の高い餌が美声の源だという。

 「鶏も人間も腹式呼吸が大事」。自身はウコッケイの卵の黄身とすりおろしたニンニクと砂糖を酒に混ぜて毎日飲む健康法で病気知らず。数えで90歳を迎えたことしも、鶏やアヒルなど約200羽の飼育に励む。

 戦前、首里・龍潭池近くでチャーンの鳴き声を競う大会を見た幼少時の記憶もあるという渡久山さん。その後の沖縄戦のつらい体験を振り返り、「ことしが災害のない平和な1年になってほしい」と願いを込めた。