名護市辺野古の新基地を巡る違法確認訴訟の上告審敗訴を受け、翁長雄志知事は昨年12月26日、埋め立て承認取り消し処分を取り消した。埋め立て承認が復活し、工事の法的根拠を得た沖縄防衛局は、年明けから本体工事に着手する構えだ。知事は承認の「撤回」の検討を本格化させるなど、知事権限の精査を急いでおり、工事を止める闘いは正念場を迎える。

 知事は、敗訴判決が出た昨年12月20日の会見で「新基地を造らせない闘いは、新しいスタートに立った」と強調した。

 1年超に及ぶ法廷闘争を経た「第2のステージ」での闘いで、知事が最重視しているのが「民意」だ。

 県幹部は、辺野古阻止の実現に不可欠な要素は「民意」だと断言する。北部訓練場返還での「歓迎」発言など政府に足元を揺さぶられた昨年を振り返り、「いま一度、辺野古反対の民意を結集することが必要だ」と指摘する。知事は自身への支持と民意を集結するため、市民集会などにも積極的に参加する意向だ。

 一方、直面しているのが工事をいかに止めるかという現実問題だ。知事は(1)3月末に期限を迎える岩礁破砕許可(2)埋め立て予定区域に生息するサンゴを移植するための「特別採捕」許可(3)工事を進める上で必要な複数の設計概要の変更申請-などの権限を使い、工事阻止を狙う。

 県は、承認時に留意事項として付した本体工事前の事前協議に応じるよう国に求めている。同時に、サンゴの採捕許可は安倍晋三首相が国会で「埋め立てで消失するサンゴ礁を適切な場所に移植する」と明言していることから、履行を求める考えだ。

 併せて知事は2月上旬に訪米し、連邦議会議員やシンクタンクの研究員らと意見交換し、トランプ新政権下での辺野古阻止の道筋を探る。「撤回」の行使などで工事を大幅に遅らせ、米国の翻意を促すことも狙いの一つだ。

 今年は県外、国外への情報発信も強化する方針で知事の手腕に注目が集まる。

ガンバロー三唱でオスプレイ撤去実現を誓い合う集会参加者=2016年12月22日午後、名護21世紀の森屋内運動場(下地広也撮影)

<知事権限>承認「撤回」の時期が焦点

 名護市辺野古の新基地建設で、翁長雄志知事は埋め立て承認の取り消し以外でも「あらゆる権限で阻止する」と明言してきた。

 

 承認取り消しを巡る違法確認訴訟で、最高裁は埋め立てを承認した仲井真弘多前知事の裁量を幅広く認め、県敗訴の判決を言い渡した。翁長知事は行政処分に対する知事の裁量を「後押しした」と受け止め、今後の承認「撤回」や変更承認申請への判断で、プラスに働くと楽観視する。

 特に承認「撤回」は、工事を止めるには有効と位置付ける。翁長知事は、前知事が承認した2013年12月以降に生じた「新たな事由」を洗い出し、「撤回」の理由となり得るか、どうかを法的に判断する。

 専門家の間では県民投票を実施し、「辺野古反対」の民意を改めて示す必要があるという声もある。

 3月末で期限を迎える岩礁破砕許可の延長、埋め立て予定地のサンゴを別の場所に移植するサンゴ採捕許可、埋め立て本体工事の設計変更申請の三つは、工事に大きく影響するとみている。そのほか、土砂など埋め立て用資材の搬入届け出審査など六つの権限の行使も検討している。

 国は、知事や名護市長の許可や承認を経ずに工事を進めるため、両者の権限行使を回避する技術的な検討に着手している。