元小中学校教員で本紙通信員の山城正二さん(81)が12月28日、沖縄タイムスに掲載された国頭村に関する過去記事58年分の切り抜きを、村へ寄贈した。宮城久和村長は「これほど生きた資料は他にない。多くの人に活用してほしい」と感謝。村は、役場隣の「村民ふれあいセンター図書室」で一般市民が自由に閲覧できるよう検討している。

国頭村に関係する本紙掲載の記事58年分が収められたファイルを宮城久和村長(右)に贈る山城正二さん=12月28日、国頭村・村史編さん室

 寄贈された過去記事は1958年12月20日~2016年12月28日付の分。「平和」「基地」「教育」など分野別に、A4ファイル計62冊に収められている。

 記事の切り抜きを始めたきっかけは、駆け出しの教員時代、教材として使うためだったという。担当した社会科の授業では教科書より「生きた教材」として新聞記事を用い、時事や歴史問題を取り上げた。ホームルームや自身の平和活動などにも活用、本土の知人に宛てた手紙に記事を同封し現状を伝えるなど、今も生活に欠かせないツールだ。

 毎朝4時に起きて新聞を読み、関係する記事を切り抜きするのが日課。のりを塗り、一つ一つファイルに貼るアナログな作業だが「オリジナルの教材を作っている感覚。楽しくてしょうがない」と山城さん。切り抜いた記事は先日発刊された村史「くんじゃん」資料編にも収められた。

 贈呈式では「こういう形で寄贈できることは幸せ。続けてきて良かった」と感慨深げ。沖縄戦で当時2歳の妹を亡くした山城さんにとって新聞は「平和な世の中をつくるための良き友であり先導者」。スクラップファイルを「多くの人に活用してほしい」と願う。

 山城さんと幼なじみで、今年4月から主に山城さんが書いた記事の切り抜きをしている同村老連副会長の宮城弘さん(80)=国頭村=は「市井の喜怒哀楽を伝えてきた彼の記事は地域の支えとなる財産。大変誇らしく思う」と敬意を表した。