イノシシと豚を掛け合わせたイノブタを「くんじゃん命豚(ぬちぶた)」のブランド名で生産、販売する農業生産法人アンビシャス(国頭村、玉城吉夫代表)がこのほど、ハムやソーセージなどの加工施設を備えたデリカテッセン(総菜店)「まちなと一丁目」を浦添市内にオープンさせた。県内でイノブタ肉の加工品を製造しているのは同法人のみ。店舗販売のスタートで、希少なイノブタの普及や生産拡大に弾みをつける。(政経部・又吉嘉例)

イノブタのハムやベーコン、ソーセージなどの加工品

イノブタの加工品など商品をアピールする玉城吉夫代表(右から2人目)、玉城リサさん(同3人目)=12月16日、浦添市牧港・まちなと一丁目

イノブタのハムやベーコン、ソーセージなどの加工品 イノブタの加工品など商品をアピールする玉城吉夫代表(右から2人目)、玉城リサさん(同3人目)=12月16日、浦添市牧港・まちなと一丁目

 玉城代表は8年前、国頭村で初めてイノブタの肉を味わった。一般の豚よりも、なめらかな口当たりを生む不飽和脂肪酸「オレイン酸」が豊富に含まれ、赤身が強く、臭みがない肉質は「牛肉に近い」という。

 当時は養鶏をしていたが、同村内の飼育農家の協力を得て、イノブタ生産に切り替えた。2008年に2頭から飼育を開始。国頭村奥の牧場で自然放牧で育て、抗生物質を使わない飼料を成長段階に応じて使い分ける。12年には加工品の製造販売で国の6次産業総合計画の認定も受けた。

 イノブタは生まれてから出荷まで12~14カ月かかり、約半年で出荷される通常の豚に比べ生産性が悪い。現在、50頭以上飼育しているのは玉城代表を含め3農家にとどまる。6次産業認定後は東京などで商談会に参加したが、販売価格や条件面で折り合わなかった。玉城代表は「流通に乗せようとすると、値段を下げられてしまう。それなら自分で店をやろうと思った」。

 店は昨年11月にオープン。ソーセージ(約200グラム500円)やハム(100グラム200円)、メンチカツ(1個150円)を販売。油はすべてイノブタのラードを使う。加工責任者は沖縄市のフランス料理店「グールトン」の元シェフの、富盛清次さん。「肉は臭みがなく、脂の質もいい。イノブタの個性を引き出したい」と腕をふるう。

 玉城代表は「育てて加工して販売する、安心・安全が売り。店の経営を安定させ、5年後には生産頭数を500頭以上にしたい」と意気込む。

 店を運営するアークベイプランニングの玉城リサさんは「イノブタのおいしさを地域の人に知ってほしい。国頭の特産物の認知度を上げ、県外にも発信したい」と話した。

 同店の電話番号は098(894)8171。