沖縄芝居の役者たちが生み出した話芸「琉球講談」の稽古や発表を通して、しまくとぅばを学び、魅力を実感する「琉球講談体験講座」(主催・当銘由亮琉球芸能研究所)が県内各地で開かれている。練習を繰り返し、人前で実際に話をしながら、しまくとぅばの習得を目指す。稽古と成果発表では、受講者が楽しみながらしまくとぅばに親しんでいる。(学芸部・与儀武秀)

稽古成果を発表する琉球講談体験講座の受講者=月日、那覇市首里・嘉陽田ホール

体験講座の稽古を見守る当銘由亮さん(右)=2016年月日、沖縄市上地、ライブハウス「アルテコザ」

稽古成果を発表する琉球講談体験講座の受講者=月日、那覇市首里・嘉陽田ホール 体験講座の稽古を見守る当銘由亮さん(右)=2016年月日、沖縄市上地、ライブハウス「アルテコザ」

 「今日や ウチチューメー、お月様ぬ話ーしぇーやーんでぃ 思とーいびーん」(今日はお月様の話をしようと思っています)

 昨年12月中旬、沖縄市内のライブハウス「アルテコザ」。ミュージシャンでライブハウスのオーナーやまじん太郎さん(54)=沖縄市=が、台本を抑揚を付けて読みあげた。講座を主宰するうちなー芝居役者の当銘由亮さんは、笑顔を見せながら、読み方を丁寧に指導する。

 琉球講談は、戦前から沖縄演劇界で活躍した俳優の平良良勝さんが創始者といわれる話芸。戦後に民放ラジオなどで放送され、独自のジャンルとして定着した。琉球史劇のせりふ口調を基に、話し手がしまくとぅばで語る。

 当銘さんは数年前に琉球講談のCDを聞き、その世界に魅了された。「歌三線にも興味があったが、言葉に特化した『セリフ』が大事だと考えていた。しまくとぅば復興の中で、体験講座に結びついた」と説明する。

 体験講座は無料。受講者と相談し日時や場所を決める。台本は歴史物や現代風なものなど多様だ。琉球処分をめぐり対立した亀川親方と宜湾親方や勝連城主の阿麻和利らが登場する物語や共通語を交えた現代風の平易な話など。数回の稽古を経て成果を披露する。

 やまじんさんは4歳で県外に出て、中学1年生で帰沖。現在沖縄民謡を学ぶが「言葉は文化。きちんと勉強しないと分からない」と受講を決めた。

 この日は3回目の稽古。約1カ月の練習で、内容は覚えたが、発音などの細部に苦労していた。A4で1枚半の台本には、赤ペンで間違いやすい発音やアクセントの注意点がびっしり書き込まれていた。

 当銘さんは「『んじぃーんだ』(行ってみよう)の最初の『ん』は、口がい破裂音(のどの奥を閉じて開放することで起こる破裂の音)。破裂させず鼻から抜ける『ん』の発音とは違う」と丁寧に説明した。

 先月17日の成果発表当日。那覇市内の会場に観客約10人が来場。県出身者2人、県外出身者3人の講談に耳を傾けた。同じ台本でも、抑揚や発音の仕方、身ぶり手ぶりも交えた熱演にそれぞれの個性が表れる。観客から笑いや拍手が起こった。

 「ゴーヤーチャンプルーぬくゎっちー」を披露した糸洲秀智さん(52)=那覇市=は「金武出身。録音して練習をした。楽しみながら発表ができたので120点の出来」と満足顔。

 自身も琉球講談「宜湾親方」を熱演した当銘さんは「単語ではなく文章を声に出して練習しているのが利点。上手な人は、より感情を入れるなど、実際に話す時にも役立つ」と話す。

 次回の「琉球講談鑑賞と体験講座」は、14日午後3時、南風原文化センターである。入場料500円。問い合わせは、当銘由亮琉球芸能研究所、電話090(1660)3217。