県内の日本語教育機関(日本語学校)に通う外国人留学生の「不法就労」が常態化している。そう言い切ってしまうと、当の留学生だけが悪いような印象を与えるが、そうではない。

 「留学」目的で日本に滞在している留学生であっても、資格外活動の許可を受けていれば、原則週28時間以内のアルバイトが認められている。

 入管難民法施行規則で定められた週28時間以内という就労制限を超えて長時間労働に従事すると、「不法就労」と見なされる。

 「留学」の在留資格で来日し、大学や専門学校に進学する準備として日本語学校に入学したにもかかわらず、現実には「就労制限を超えた長時間労働」を強いられているのである。

 不法な状態が改善されないまま常態化しているのはなぜなのか。単純化して言えば、留学生も雇用主も日本語学校側も、それぞれが長時間労働を容認せざるを得ない内部事情を抱えているからである。

 県内在住の外国人留学生はネパール、ベトナムなど発展途上国の若者が多い。

 日本語が不自由な留学生のアルバイト先は、コンビニや居酒屋の深夜勤務、弁当・総菜づくり、ホテルの客室清掃など、人手不足の深刻な職場がほとんどだ。

 留学生が働き手となって、県経済のこの部門を支えているのである。

 九州地方知事会や経済界が就労制限の緩和を要請する方向で検討しているのは、こうした経済事情があるからだ。

■    ■

 「日本に行けばアルバイトでたくさん稼げる」-。留学生の中には、本国で業者の甘言に釣られ、大枚をはたいて来日した人もいるという。

 学費や生活費、進学費を工面するのに「週28時間以内」のバイトでは足りず、複数のバイトを掛け持ちしたり、深夜勤務のくたくたの状態で学校に通い、授業ではスヤスヤ、という留学生もいる。

 時給が最低賃金の714円だとすれば、本国からの仕送りも奨学金もなしに学校に通うことは、極めて難しい。

 「不法就労」問題を考える時、長時間労働に頼らざるを得ない現実を無視するわけにはいかない。

 日本語学校側には二つの見方があるようだ。経済的なサポートを強化し、学校運営を安定化させるため、就労制限の緩和を支持する意見が一つ。もう一つは、就労制限を緩和した場合、ますます学業がおろそかになる、と懸念する意見である。

■    ■

 政府が打ち上げた「留学生30万人受け入れ計画」は、留学生が安心して勉学に専念できる環境づくりが極めて不十分だ。

 この問題に詳しいジャーナリストの出井康博さんの指摘は重い(7日付本紙)

 「私たち日本人の便利な生活は、彼らの存在や『不法就労』なしに成り立たなくなっている」

 東京オリンピックに向け人手不足が深刻化すれば、出稼ぎ目的の「偽装留学生」がさらに増えていくことが予想される。関係機関が連携し早急に対応策を講じるべきだ。