1976年に建てられた那覇市古島の教育福祉会館が老朽化のため、近く取り壊される。40年にわたり教育や文化活動、集会に活用されてきた同館は「教育と福祉を結び、充実させる」ことを目指して高教組が建設した。当時はまだ珍しかったというバリアフリーや「団結」が設備のテーマだった。建設に携わった関係者は「新しい会館も平和と民主教育をつくるとりでにしてほしい」と望む。(社会部・嘉数よしの)

高校美術教師らが作った焼き物のレリーフ前に立つ濱元朝雄さん。教育福祉会館の象徴の一つだが、建物とともに取り壊される=2016年12月、那覇市古島の同館

 同館は、組合員から募った出資金を基に完成した。本土復帰前から1人当たり毎月1ドル(当時)を積み立てたものの、当初は資金が足りず、当時の委員長の私有地を担保の一部にして銀行から借り入れたこともあったという。確保した用地が原野だったため、組合員が週末に集まって草刈り作業に汗を流して整地した。

 教職員だけでなく生徒や保護者も集える場にするため、建物の随所に配慮と思いが込められた。玄関には車いす利用者のためのスロープが設けられ、廊下には点字タイルや手すりが備え付けられた。機能面に加え温かみのある空間にするため、資材には石や木がふんだんに使われた。

 3階ホールのロビーには、美術教師たちが作った高さ4メートル超の焼き物のレリーフが飾られた。天井には幅約2メートル40センチの屋久杉の切り株が取り付けられ、「太く長く負けない覚悟を持って活動する」象徴となった。

 当時、高教組書記長で、会館建設の中心を担った濱元朝雄さん(75)は「みんなの心の故郷となる場所にしたかった」と振り返る。40年がたち「教育、福祉に役立てられ、後輩に財産を残すこともできた。満足している」と話す。

 新会館は2018年2月に完成予定。現在地の3分の2を売却し、残る土地に高教組の事務所やホールなどが入る建物が建設される。福元勇司委員長は「屋久杉など貴重なものは生かしながら、先輩たちの思いを引き継いでいきたい」と決意を語った。