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  • 5人以上の事業所の平均給与が沖縄は約24万円で全国最下位
  • 第3次産業に偏った経済構造、生産性の低さが要因と識者は指摘
  • 社員の育成や働きに見合った給与、労働者の働き方なども課題

 厚生労働省の2015年毎月勤労統計調査によると、5人以上の事業所の平均給与(支給総額)が、沖縄県内は約24万円で全国最下位となっている。全国は約31万円で、約7万円の開きがあり、77%にとどまる。沖縄は10年来最下位が続いており、低賃金社会が固定化している。識者は、沖縄の産業構造上の問題や生産性の低さを要因に挙げる。(学芸部・高崎園子、座安あきの、榮門琴音)

【資料写真】上空から撮影した那覇市街

月の平均給与と労働時間

高橋俊介さん

吉田務さん

島田尚徳さん

【資料写真】上空から撮影した那覇市街 月の平均給与と労働時間 高橋俊介さん 吉田務さん 島田尚徳さん

■圧倒的に低い製造業比率

 「沖縄の低賃金は、製造業比率が圧倒的に低いところに要因がある。本土で経済成長が終わったころに復帰した問題に加え、製造業に欠かせない水が少なく、電力料金が高い」

 県内外の経済事情に詳しい慶應義塾大大学院特任教授の高橋俊介さんはそう指摘する。製造業比率と所得は相関しており、製造業率が高い都道府県は所得が高い。

 労働問題に詳しい社会保険労務士の吉田務さんは「国の沖縄振興政策の失敗だ。製造業は定着せず、第3次産業に偏在した経済構造になった」と断じる。

 海邦総研地域経済調査部研究員の島田尚徳さんは、生産性の低さを指摘する。沖縄は賃金は低いが、労働時間が全国平均を上回り、長時間労働が常態化。労働生産性は近年、全国との差が拡大している。

 「手間や時間がかかるが儲(もう)けが少ない仕事をしている事業所が多いのではないか。安定した儲けがないから、労働者の給与が安く、身分の不安定さから離職者が増える悪循環に陥っている」

■全国2番目の格差社会

 高橋さんは、生産性の低さはマネジメント力の弱さに原因があるとみる。「県内はオーナー系の中小企業が多いが、成長意欲が低く、一族が潤えばいいという経営者も少なくない」

 沖縄は、所得に占める雇用者報酬の割合「労働分配率」が全国平均を下回り、所得格差を測る指標の「ジニ係数」が全国2番目に高い、格差社会。

 「社員の育成やマネジメントの高度化を考えなければ、企業の成長はない。それをせず、会社は赤字にして、自分は外車に乗っているようでは経営は尻すぼみになり、社員は育たない」と高橋さん。

 昨年、沖縄は、有効求人倍率が復帰後初めて1倍の大台に乗った。島田さんは、企業が簡単に人材を確保できなくなる時代に入ると予測する。「適切な給与など、働きに見合った評価をしなければ人材は流出する。企業には、付加価値の高い商品・サービスの提供とともに、社員に還元する戦略が必要になる」

 吉田さんは労働者側の課題も指摘する。「給与の低さに甘んじて、『ほどほどでいい』といった働き方をしている労働者もいる。沖縄は、負のスパイラルから脱却しなければならない」

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