【連載「働く」を考える】

 パッカー車で入り組んだ住宅街の路地を入り、手早くごみ袋を回収していく。頭の中には、限られた時間内に効率的にごみを回収するためのルートがたたき込まれている。

回収したごみをパッカー車に積み込む平良弘明さん。限られた時間内に作業を済まさなければならないため、動きに無駄がない

 平良弘明さん(46)はごみ・古紙回収会社で正社員として働いて9年になる。

 会社は一般住宅のほか、米軍住宅や店舗など4千軒以上のごみ回収や段ボール回収を行っている。

 だが、平良さんたちには約3年前まで、社会保険も、有給休暇も、残業代もなかった。

 週6日、1日9時間勤務で、従業員の月給は手取り18万5千円。社会保険がなく、従業員は個人で国民年金や国民健康保険料を払っていた。平良さんは障がいのある姉と母親を扶養しており、生活はぎりぎりだった。

 労働時間は、法定労働時間の週40時間を週14時間、月60時間ほど超えていたが、残業代が支払われたことはない。休みは日曜だけで、法事などで休むと日割りで給料が引かれた。

■    ■

 3年前、ある“事件”が起きた。

 ほとんどの従業員が社会保険未加入であることを日本年金機構から指導され、保険料を2年分さかのぼって支払わなければならなくなったのだ。

 法人格のある会社(株式、有限、合名、合資など)は、社会保険への全従業員の加入が義務付けられている。違反すれば追徴金や罰則・罰金が科される。

 会社の失態だったが、会社側は、これから出る保険料に合わせて、従業員負担分の追徴金を今後2年間、月々の給料から天引きすると告げた。

 月給から約6万円が引かれると残りは12万円余り。「そんな給料では生活できない」と従業員から悲鳴が上がった。

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 平良さんは事実を確認するため、年金事務所に出向いた。すると、追徴金の支払いは必ずしも労働者が負担しなくてもいいことが分かった。その足で立ち寄った労働基準監督署で、さらに多くのことが分かった。

 労働基準法は1日8時間、週40時間を超えて労働させてはいけないと定めている。この時間を超えて従業員を働かせる場合には、労使で協定を結ばなければ残業自体違法で、残業代を支払わないのも違法だったこと。

 また、有給休暇制度がない会社だと思っていたが、有給休暇は労基法で定められた労働者の権利であり、会社の都合で決まるものではないことなどだ。

 「えー、まじねー、自分たちの会社、違法だらけさ」。戻って事実を伝えると、同僚たちから驚きの声が上がった。(文中仮名)(学芸部・高崎園子)

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